異世界から帰還した勇者~戻った世界は人類滅亡待ったなしの世紀末!?~

大然・K(だいぜん・けー)

第00話 プロローグ



 何の前触れもなく突如出現したソレは、全世界に恐怖をばら撒いた。



 家電量販店に展示されているTVには、緊急ニュース番組が映し出されている。



「現場に与野アナが到着したようです。与野さん、お願いします」


『はい。現場上空の与野です。ご覧になってください。地上には信じられない光景が広がっています!』


――――ババババババッ。


『いま現場に到着したばかりで、いったい何が起こっているのか? 想像すらできません』




「この事態に関する政府からの発表は、まだ出ておりません」




「たったいま、総理が官邸危機管理センターに対策室を設置したとの情報が入ってきました」




     ◆




――――ババババババババッ。


 なんだ? 爆音が身体全体に響いてくる。


 頭が割れそうだ。


「隊長! 来てください」


「バイタルチェックだ!」


 触るな! 痛いじゃないか。


「脈……と、呼吸もあります!」


――――ザッ。


「第18小隊よりCPコマンドポスト

 生存者を発見。要救護者と判断。

 救護部隊の派遣を要請する。オーバー」


CPコマンドポストより第18小隊。

 こちらも映像で確認した。

 HQヘッドクオーターに指示を仰ぐ。その場で待機せよ。送れ』


「第18小隊よりCPコマンドポスト

 了解した。オーバー」


「小隊。全周警戒体制」


 どうして、こんな爆音が響いているんだ?


 身体が震えるほどの振動も響いてくる。


 いったい、なにが起こっている?


――――ザッ。


CPコマンドポストより第18小隊。

 HQヘッドクオーターが救護部隊を派遣する。現着まで警戒にあたれ。送れ』


「第18小隊よりCPコマンドポスト

 了解。警戒任務にあたる。オーバー」


 ウルサイ。


 静かにしてくれ!




     ◆




――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。


 頭が……割れそうだ。


 シャロ。ヒール……。


「意識が覚醒へ向かっています」


「ヒール……たのむ」


 眩しい……。


 どこだ、ここは?


「私の声が聞こえますか? 言葉の意味はわかりますか?」


 誰だこいつ?


「これを目で追ってください」


 光が眩しくて余計に頭が痛くなる。


 くそう……なんだコレ。


 身体が動かない?


「完全覚醒しました」


 ヒーラーが居ないなら、自分で治すしかないか。


「ここは安全ですから。暴れないようにしてください」


 アレ? 魔力が足りないのか?


「魔力反応です」


 魔法が使えない?


「麻酔投与」


 …………。


 ……。




     ◆




――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。


 ボンヤリと何かが聞こえる。


 これは……、電子音なのか?


 クソゥ……酷い頭痛だ。


「早くヒールを頼む。頭が割れそうだ」


「大丈夫です。暫くしたら頭の痛みは治まります」


 なんだこいつ?


 宇宙服のような格好で……。


 宇宙服?


――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。


 電子音?


「オイ! ここはどこだ?」


「ここは安全です。安心してください」


「そんなことはどうでもいい。ここはどこなんだ?」


「名前と生年月日を言えますか?

 教えてくれたら質問に答えます」


足守あしもり 蒼大そうた。2084年4月1日生まれ」


「ありがとうございます。

 ここは、国連日本支部です」


 日本……だと!!


「本当に日本なのか?」


「はい。そうです。

 あなたは国連軍に救出されて、病院で治療を受けています」


 帰ることができたのか?


 日本に……。


「戻ったのか!!」


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