イルミナティと闘った貴族


 今は亡き安倍首相が思い描いた政治スケジュールというものがあった。

 その最も重要な、一丁目一番地の政策は「憲法改正」だった。

 今回のテーマは、


 憲法改正の興亡と、東京オリンピックの関係


 である。


 ――憲法改正は本来、西暦2019年5月の連休、憲法記念日に公布するはずだったと思っている。

 西暦2016年7月、参議院選挙があった。

 この選挙で自民党などの議席数は、改憲勢力が発議できる3分の2になった。

 衆議院でも改憲勢力が同じく3分の2だったので、発議を行えば通ることになったのだ。


 けれど、この時にとても重要な――日本の歴史を大きく変える出来事があったことをご存か?


 天皇の退位のお気持ち


 である。

 翌月の8月に、前天皇陛下はビデオメッセージという形で退位の意向を国民に伝えた。

 参議院選挙と退位の意向――この2つは無関係に見える人が多い。

 詳しい経緯は省略して、前天皇の退位は西暦2019年4月に、新天皇の即位は翌月の5月上旬に決定した。




       *




 少し話を戻して――、

 参議院選挙の翌年の2017年前半は衆議院選挙をいつ行うのか? が話題になっていた。

 前首相は憲法改正したい。

 そのためには、衆議院の改憲勢力を何が何でも3分の2にしなければいけない。


 当時、西暦2020年に東京オリンピックの開催が決定していて、その前年の2019年には新天皇即位の儀式が待っていた。

 西暦2017年の段階では、西暦2019年に新天皇即位で元号が変わるなんて、誰も想像していなかった。

 それは、前首相も同じだっただろう。


 心情的には、オリンピックの前年に憲法改正することで、新しい時代の日本を内外にアピールしたかったのだと思う。

 しかし、その前年に退位と即位の儀式が入ってしまい、憲法改正の戦後日本最大の政治イベントと、皇室の儀式が同じ年に行うことは……客観的に考えても難しいと判断できる。


 とすると……、

 憲法改正のチャンスは西暦2018年しか残されなくなったのだ。

 これを逆算してみて、改憲勢力を3分の2にするためには、衆議院選挙を西暦2017年中に行う必要性が発生した。


 しかし!


 ここで、またしても憲法改正を阻もうとする勢力が登場した。

 朝日新聞である。


 加計学園問題が大きく話題になったことを覚えているか?

 西暦2017年5月に、朝日新聞が「これは総理のご意向」などと記載された大量の文部科学省の文章を報道したのだ。 

 加計学園の問題は長々と続いていった。


 それから西暦2017年10月に衆議院選挙が行われて、結果は改憲勢力の3分の2の議席を維持……。

 ああ……、これで来年の西暦2018年に憲法改正の発議が行われるんだな……。

 政治の専門家はそう思ったことだろう。


 しかし! 


 またしても、憲法改正を阻もうとする勢力が登場する。

 朝日新聞……。


 森友学園問題を覚えているか?

 前首相が森友学園にお金を渡したかどうかという問題である。


 この問題も長々と国会で論戦された。

 西暦2018年3月に、朝日新聞は財務省が作成した土地取引に関わる決裁文書が改ざんされていた! と報じて世間は大騒ぎになった。


 この辺りで、西暦2018年の憲法改正の発議は……というより論議自体が完全にできなくなった。


 ――極め付けは西暦2019年7月の参議院選挙の結果、3分の2割れになってしまったこと。

 これで、前首相の任期の西暦2021年9月までの憲法改正は絶望的になったのだ。




       *




 私は、やはり「天皇の退位のお気持ち」が一番のターニングポイントだったのだと思う。

 西暦2018年に憲法改正の発議をして国民投票を経て、翌西暦2019年5月に公布する緩やかなスケジュールであれば、たぶん憲法改正されただろう。


 前首相に残されたチャンスは、西暦2021年前半の発議だけになってしまい、それすらも西暦2019年の参議院選挙の結果、絶望的になってしまった。


 禁じ手――皇室典範を変えてまで行われた天皇退位。

 天皇陛下の本当のお気持ち――


「こら! 平和憲法を変えなさんな!」


 という、お𠮟りのお言葉……。




       *




 憲法改正はアメリカの悲願……イルミナティにとって。

 それを阻止した天皇陛下。


 しかし、イルミナティには奥の手がある。





 続く


 この禁書は、個人的な研究結果です。




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