【新約外伝】あたしと先生の異世界転生

預言者

最後の魔女からの教え

　イルミナティは、東京オリンピックを前日に中止させようと計画していましたが、

　それを阻止したのが、最後の魔女でした――

　東京オリンピックを成功させるために、生まれて……死んで、転生して、

　そういう、最後の魔女の一生を――

　　　　　　　＊

　――最後の魔女、預言者として余生を生きたその者は、静かに語った。

　西暦2024年、元日の大地震や翌日の航空機炎上なんてたいしたことない。

　イルミナティの国が崩壊して、ニューヨークが覇権を握った時代、科学の集大成――人工知能AIによるハルマゲドンの宣言や、フランスに降臨したエイリアンの宇宙船の墜落なんてものは……、

　すぐそこに来ている終末に比べれば、ちっぽけな歴史にすぎないのだよ。

　聖書の天地創造の物語とヨハネの黙示録が融合――、

　月の裏から人類の前に大天使に似たエイリアンとその神が復活し降臨して――、

　神の子だけが生き残ることを許された世界が西暦2039年まで続いていき――、

　生き残った人類は、人工知能AIが生み出した仮想現実VRの新世界で――、

　遺伝的限界を突破――その者たちは超人と神人（しんじん）と人工進化して――、

　やがて、宇宙へ向かい太陽系を脱出してくだろう。

　――預言者は静かに語った。

　ああ、本当の神よ。

　私は悪しき集団のイルミナティに選ばれてしまうのでしょうか？

　否（いな）、選ばれることは不名誉ですから、

　私は人として、死んでいく自由を選択したいのです。

　ですが、それもイルミナティが決めることでしょう。

　ああ、忌々しいイルミナティめ……アメリカよ。

　私はここに、古（いにしえ）の呪文で書かれた預言を記して抗（あらが）うのです。

　時々、思い出してください。

　この禁書は、個人的な研究結果であり壮大なフィクションです。

　了