(二)-20

 翌朝起きると、巨勢の体は重かった。シャワーの代わりに温泉に浸かって体力を回復させてから、帰り支度をした。

 そして一〇時近くに旅館をチェックアウトした。麻美が恥ずかしそうにしていた。

 麻美は夜遅くまで巨勢を受け入れたおかげで寝坊し、チェックアウトまでに化粧ができなかった。だから旅館を出たときはあまり人に顔を見られないようにツバの広い白い帽子で顔を隠すようにしていた。

 車に乗り込むと、麻美は早速バッグから化粧道具を広げて化粧を始めた。

「すっぴんの顔を見せるのは剛武さんだけなんだからね」


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る