(二)-3
巨勢は助手席側の窓を開けると、三原は「これを」と紙片を差し出してきた。
それは「西武蔵村山物部製作所生産管理部 三原彩夏」と書かれた名刺だった。それは前に一度受け取ったものと同じものだったので、巨勢は何が違うのかと思い、紙片をひっくり返して裏を見てみた。
名刺の裏には、手書きで携帯電話の番号が書いてあった。
巨勢は三原の方を見たが、すでに彼女は工場の敷地の中へと消えていった。
巨勢は名刺をスーツの胸ポケットにしまい、車を出した。
(続く)
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