二人の子ども~天国の手前
びわ
第1話
彼は死んだ。
彼は突然意識を失い、そして命まで奪われてしまった。
驚く人の顔、顔、顔ーー
そして闇。
ここはー?頭がひどく重い。
起き上がろうとした瞬間、ぐらりと頭が揺れた。
ーあ…
とっさに頭を支えた両の腕を見る。
なんてかぼそい腕。視線を足に落とすとやはりひからびたかぼそい足がひょろひょろと長く伸びていた。
ー僕はいったいどうしてしまったの…。
『君もここにやってきたんだね。』
声がした。
振り向くとそいつはさらに声をかけてきた。
「こっちへおいでよ。僕はここを動けないんだ。」
見ると声の主は14、5歳の青白い顔をした少年だった。
紺のタキシードを着て、金に装飾をほどこした古めかしい椅子に座っている。
少年の周りだけ、闇から切り取られたかのように孤立して見えた。
頭の大きいかぼそい子どもは、言われるままに
のろのろとよろけながら歩いた。そして少年の前に立った。
少年をじっと見る。みけんにしわを寄せた大きな頭の子どもー
そして青白い端正な顔立ちの少年も、目をぐっと大きく見開いて相手を見た。
互いの瞳に互いの姿が映り
ーこんなに醜い僕のすがたー
互いの心が映った。
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