第4話 生徒会役員は個性が強い

生徒会役員は個性が強い 1ページ目

 今日から私が金坂学園の生徒会長。


 やっと手に入れた復讐の舞台。


 あとは、元カレの鷺ノ宮拓馬と、にっくき担任教師こと加地智史への復讐を果たすだけ。生徒会長特権を悪用──ではなく、有効活用してこの学園から悪を排除するのよ。


「おや、無事に生徒会長になれたようだね」


 廊下を歩いていると、聞き覚えのある声が私の足を止めた。


 この声を私が忘れるわけわけない。だって十ヶ月という長い時間をともに過ごしてきたんだから……。


「あ、アナタは……マスターおなつ! どうしてここに……」


「どうしても何も、ワシはここの理事長だからのぉ」


「な、理事長だったのねっ。それより、せっかくツンデレをマスターしたのに、あっさりフラれたんですけどっ!」


「なんじゃ、そんなことか。まっ、それはあれじゃよ。本人に魅力がなかっただけじゃな。しかし、あんなにも簡単に騙させるとは思わなかったのぉ」


 騙される……? どういうことよ、私が何に騙されたというのよ。えっ、まさか、あの話は全部ウソだとでも言うの……。


 ううん、きっとこれはジョークよね。


 タチの悪いジョークに決まってるんだからっ。


「マスターおなつ、ううん、理事長、騙されるってどういう意味ですか? 冗談にしては内容が黒すぎる気がしますけど……」


「なんじゃ、まだわからぬのか。世の中にそんな美味しい話なんて、あるわけないのじゃ。まっ、安い勉強代だと思ってくれ。なにせ、物事を教えるのが教育者の役目じゃかやのぉ」


 私……騙されてたのね。何が教育者よ、生徒からお金を騙し取る教育者がどこにいるというのよ。あっ、そうですね、ここにいましたね。


 推しグッズまで我慢したのよ。確かに、怪しさこそあったけど、めっちゃいい人だったじゃない。……そっか、すべては、私からお金を巻き上げるための演技だったのね。


 あの高笑いが今は憎すぎる。


 何が安い勉強代よ。


 この恨み──必ず晴らしてみせます。推しグッズの恨みは、絶対に忘れないんだからっ。



 放課後、新メンバーとの顔合わせで、私は生徒会室を訪れていた。そうよ、すべてはここから私の復讐劇が始まるのよ。


 メンバーの名前は選挙の日に知ってたけど、顔なんて緊張でまったく覚えていない。どんな人たちがメンバーになったのか。それを知るため、私は自己紹介という古典的な手法を使ったの。


「くっくっくっ、ようこそ我が生徒会室へ。そして、みなさん改めまして、私が生徒会長の西園寺朱音です。まずは、軽く自己紹介といきましょうか」


「えっと、三年の三須早紀です。サキね、生徒会に憧れてたのだー。えへへ、朱音会長、これからよろしくなのー」


 まさか先輩だったなんて……。顔が幼すぎるから、てっきり後輩かと思ってましたよ。


 しかも、金髪ツインテールがロリ度をアップさせてるし。


 これが天から与えられしロリ属性なのね。

 べ、別に羨ましくなんて……ないんだからっ。

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