生徒会役員は個性が強い 2ページ目

「ボクは来栖葵、二年生だよ。西園寺さん、当選おめでとう」


「ありがとう。って、アナタは確かあのときに応援してくれた──」


 そうよ、忘れるわけないもん。だって、唯一私に声をかけてくれたから……。


「ボクのこと、覚えていてくれたんだ。会長、ボク嬉しくて胸が張り裂けそうだよ。一生この身を会長に捧げると誓うよ」


 きっと生徒会に尽くすって意味よね。他に意味なんてあるわけ──待って、なんで瞳が潤んでるのよ。


 えっ、ちょっと、顔まで赤く染めないでよぉぉぉぉぉぉ。


 私はノーマルなんだからぁぁぁぁぁぁ。


「一年の神崎奈乃ですー。朱音先輩、これからも私の操り人形として……じゃなくて、一緒に頑張りましょうねー」


「あはははは……」


 奈乃さんはホントブレないよね、その性格が羨ましいよ。あれ、そういえば書記の男子が見当たらないけど、まさかサボりなのかしら。でもこの部屋にいる男の人って──制服コスプレしたちょっとイケメンな顧問の先生ぐらいだし……。


「えっと、書記の男子がもうひとりいたよね?」


「それは僕ですよぉぉぉぉぉぉ。僕が一年で書記に選ばれた管陽琥ですよぉぉぉぉぉぉ」


「先生……一度病院に行かれた方がいいと思いますよ?」


「ちっがーーーーう。僕が本物の管陽琥ですってぇぇぇぇ」


 ここまで役に入り込めるだなんて、ある意味凄いよね。だいたい、その老け顔で高校生設定は無理があるのに。


 はっ、まさか、ううん、きっとそうね。それしか考えられないもの。


「ご、ごめんなさい。心の傷を抉るつもりはなかったのよ。留年し続けてるだなんて、恥ずかしすぎるからねっ」


「それもちがーーーーう。僕は正真正銘の十六歳ですー。留年なんてしてませんからぁぁぁぁ」


 そんな……留年でないとすると、管君の正体はいったい……。あっ、わかったよ、もうこれしか答えがないもの。でも、こんなことが現実世界で起こるだなんて……。


「そっか、管君は転生者なんだねっ」


「僕は転生者でもないですぅぅぅぅぅぅ。信じてくださいよぉぉぉぉぉぉ」


「わ、わかったわよ。そういう設定にしといてあげるんだからっ」


「だから違うのにぃぃぃぃぃぃ」


 血の涙を流すだなんて、これが中二病というやつなのね。


 目薬ではなく本物の血の涙を初めて見たよ。


 それにしても、濃いメンバーが生徒会に選ばれたよね。まともなのは、私と三須先輩ぐらいかな。腹黒系悪女にボクっ娘な百合系(と思われる)女子、それに──実年齢が怪しい男子高校生。まさに属性のオンパレードと言ったところかしら。


 でも、そんなことはどうでもいいの。私が極めた──はずのツンデレを使って、あの三人へ復讐するのが目的なんだし。

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