復讐の下準備と悪女な後輩 2ページ目
「そうなんだ。ライバルだけど、一緒に頑張りましょう。私は西園寺朱音よ、二年生だけどよろしくね」
「はいっ。私は会計に立候補するんですけど、西園寺先輩は何に立候補するんですか?」
「私は会長だから安心していいよ」
「被ってなくて、よかったです。それなら、裏工作で妨害する必要ありませんから」
あれ、裏工作って何かな。
しかも妨害って……。
きっと、聞き間違いよね。
こんな可愛い顔してるんだから、そんな腹黒いこと、言うわけないもんね。
「えっと、裏工作とかって、私の聞き間違いよね? 神崎さんがそんなこと言うわけが──」
「えっ、もしかして、心の声が漏れてましたか? もう、私ったらうっかりさんです。一年生で立候補するなら、会長より会計が無難かなって、思っただけですよ。それと、来年会長へ立候補するための足場固めだなんて、これぽっちも思ってませんよ?」
天使の笑顔でこの子は何を言ってるのよ。
黒い、考えが黒すぎだよ、初々しさなんて、微塵の欠片もないよ。
うん、私の直感がこう告げてるわ。関わるとろくなことがないって。
「そ、そうなんだ。それじゃ、私はこれで──」
「逃がさないですよ、先輩っ。私の本心を知られたからにはね?」
怖いよ、この子怖すぎさんだよ。私の腕を掴んで、逃げられないようにしてるし。
というより、なんでこんなにも爽やかな笑顔なの。とりあえず、この場から逃げないと危険すぎるよ。
「大丈夫、私はこう見えて口が堅いから。だから──」
「冗談ですよ、先輩。そんなに怯えないでください。そうだ、ここで会ったのも運命です。二人で協力して選挙に挑みませんか?」
「気持ちは嬉しいんだけど、私にはもう──」
「そうですか、陰キャオーラで、友だちがいないと思ってたんですけどね。それは残念です、本当に残念ですよ」
陰キャだなんて、初対面のしかも先輩に対して言うことなの。
確かに、手伝ってくれる友だちはいないけど。
でも、ここで弱みなんて見せられない。もし弱みなんて握られたら──せっかくツンデレ覚醒したのが台無しになっちゃうじゃない。
「べ、別に友だちがいないってわけじゃないのよ。ただ、私と合わないだけ、なんだから。ただ、それだけだよ……」
「なるほど、陰キャを卒業し、ツンデレへ目覚めたというわけですか。これは、面白いおもち……類まれなき才能ですね。私、俄然興味が湧いてきました」
おもちゃって、言いかけましたよね。
先輩私のに、面白いおもちゃを見つけたって思ってるよね。
しかも、なんで陰キャからツンデレにジョブチェンジしたって、知ってるのよ。
ここで誤魔化して逃げてもあとが面倒だよね。放っておいても、何しでかすかわからないですし。それこそ私の邪魔なんてされたら、計画がすべて水の泡よ。それなら、味方にしておいた方が得だよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます