異世界大使館はじめます

あかべこ

序章

すべての始まりは、桜散り初める上野の森であった。

今は使われなくなった駅の出入り口がガタガタと揺れてやがて鍵がガシャン!と音を立てて落ちた。

そして出て来たのは小柄な白髪の少年に引き連れられた四人の人であった。

しかし彼らの見た目は明らかに人間と異なっていた。

白髪の小さな少年の腕は白い羽毛に包まれ、黒髪の二人の女性たちには猫の耳や尻尾が揺れ、全身をコートに包んだ足を引き摺る男には犬のようなマズルや耳がフードの下に隠れているのが見えた。

違反を通報されてやってきた近所の交番の警察官は遠巻きに彼らを観察していると、白髪の少年が静かに近寄ってくる。



「すいません、わたしたち、このくにのひとと、なかよくたい」


そう、それが始まりの一言であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る