いいわけ(777文字)

 今日はどんな言い訳でシバといたことにすればいいのだろうか、湊音は帰りの車の中で考える。


 別に言い訳しなくても湊音とシバの関係は李仁も、シバのパートナーのジュリも認めている。


 ジュリが別の部屋にいても関係を持つのであってすごく変な認められ方でもあるが湊音の精神安定のために、と納得してくれたようだ。


「湊音、どした。明日雨降るから頭痛くねぇか」

「うん……痛いよね」

「俺もガンガン痛い」

「大丈夫?」

「うん、お前と喋ったら気が紛れる」

「だめだよ、運転に集中して」

「頭痛痛くて運転嫌なんだよ」

「頭痛と痛くてがかぶってるよ」

「るせー、わかってるわい」

 2人は笑った。でも話を続けると李仁とに言う言い訳を考えられないと思いながらもマンション前まで着いてしまった。

「またそんな顔する。あと一周くらいするか」

「……うん」

 とシバの運転する車はまた動きマンションの周りを回る。

 こういうことは初めてでは無い。それはシバもわかってる。すんなり一回で帰ったことはない。


「ごめんね、シバ」

「いつものことだ」

 ふと湊音はシバの手を握った。


「李仁が待ってるぞ」

「うん……」

 シバは湊音の手の温もりを手の甲で受ける。


「言い訳するようなら、この関係はやめるか?」

「嫌だ」

 湊音は即答する。シバはコンビニの駐車場に車を停めた。


「言い訳するような関係か?」

 シバは湊音に目を合わせようとするがそらされる。


「俺は、そんな関係じゃないと思ってる。まぁパートナーがお互いにいるのにこんなことって周りは認められないが……堂々はしたい」

「……そうだね」

 湊音の頭をポンポンと軽く叩くとシバはニコッと笑った。

 湊音もつられて笑った。

「まーコンビニ入ってお菓子でも買うか?」

「うん」

「言っとくけど奢りじゃねーからな。自分で買えよ」

「シバのけちー!」

 湊音はホッとした。コンビニに寄った、という言い訳ができた……と思ったのであった。

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