李仁と湊音2023(完結)

麻木香豆

願望叶えてあげる

「ねえ李仁、ハーレム体験したことある?」

「はっ?」

いきなりな湊音の突拍子もない質問に普段はクールな李仁は体が飛び上がるほど。


「……ん、あーまぁ、若い頃あるわ」

「へぇーあったんだ」

「ほんとー若い時よ。ホストの時……」

湊音はじとーっと李仁を見る。


「何よいきなり。昔も少し話したじゃん。あなたにまだそんな欲望あったわけ?」

「いや、聞いただけだよう」

今は同性愛者である湊音だがそんな質問してくるなんて、と李仁はあやしむ。


「聞いただけ? 願望じゃないの」

「ちがう、今スマホでネット小説読んでいてさ、ハーレム物が最近増えてるなぁって」

と湊音がスマホの画面を見せる。また書店員の李仁はふーむと見ている。


「まぁ昔からこういうジャンルは多いわよ……みんなモテたいのかしら」

「みんながみんな、李仁みたいにイケメンじゃないし」

李仁は湊音の僻みを聞いて笑う。

「なに笑うんだよ」

「やっぱりミナくんの願望じゃない、ハーレム」

「が、願望じゃない!! 僕は李仁だけでいいのー!」

ムキになって湊音が声を荒立てる。そんな湊音に李仁が頭をポンポンとなでる。


「今晩はそんなふうなベッドの誘い方かしら?」

そう微笑む李仁に湊音はたじたじ。

「違うヨォ……でも今キスしたい」

「不器用なミナくんがハーレムだなんて……やられ放題よ」

「だからもうハーレムの話はやめて」

「今度その願望叶えてあげるね」

李仁は湊音にキスをした。


「李仁ぉ……」

二人はソファーで横になった。




後日。


「メリークリスマス!!!」

李仁と湊音の家でクリスマスパーティー。シバ、大輝、流星などなど男友達たちが集まる。こんなに集まるのは実に久しぶりである。


「ねぇ、李仁……まさか」

「うん。願望叶えたわ」

「いや、男ばかりなんだけど」

「あーこれは……」



逆ハーレム、である。



その日の夜のことは……どんなふうになったかはご想像にお任せします



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