やり直し女神さまの異世界さんぽ旅~英雄、極めちゃいます~

遥 かずら

第1話 女神、異世界転移する

「えーっ!? わたしが与えた癒しの光で世界が混迷?」


 数百年ぶりに顔を見せた女神シャクティから、衝撃的なことを言われた。シャクティはわたしの友人で、力を与える女神。


 友人といっても女神同士は滅多に顔を合わせない。そんな寂しさもあって、わたしは彼女が本来すべき"役目"を代わりにしてあげている。

 

「うん……。その原因がその、代行してもらっていた授けの力が関係してて……」

「ええぇ?」

「長い間代わってもらっといてなんだけど、このままだとあなたが光を与え続ける限り世界のバランスが崩壊することになりそう……」


 彼女が言う授けの力は、生命を司る彼女が本来与えるべき力の恵みのこと。力の恵みは、"英雄"となり得る者に備わる力のことで、わたしが授ける光とは別の扱いになる。


「でもどうしてそんなことに? わたしが与える癒しの光には転生の授けしかないよ? とてもじゃないけど英雄さんを生み出すことには~……」


 生きとし生けるものには平等に命の光が与えられ、転生を繰り返す。それが女神であるわたしのやるべきことであり、世界を再生させることがお役目だったりする。


 それなのに、


「んー……多分だけど、数百年以上も繰り返すうちに代行していた授けの力も加わった可能性があるんだよね」


 これはどう考えてもわたしの責任に……。


「どうしよう?」

「このままだと上位神さまに何て言われるか分からないし、罰を受ける可能性も……」

「そ、そうだよね。それならこうしちゃいられない! わたし、行って来るよ!」


 まさか代行していた力を癒しの光に付与していたなんて。混迷を極める前にわたしが何とかしないと。


「えっ、どこに? 待ってルキア!! あっ――」


 彼女が呼び止めるよりも先に、わたしは混迷しているとされる世界へ転移した。

 それがどこの世界なのかも確かめずに……。





































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