第96話 死の舞踏
セシルを失ってから、数日が経過した。
俺は昇進し、連隊長になっていた。
そんな俺を、同時に昇進を
部屋に入ると、柔らかい
「やあ、ジェフ。数日ぶり。せっかく人類が勝利して大陸中がお祭り
「……」
俺が
「ジェフリー・オルグレン連隊長。連邦の上層部は、貴官に死の
「
即答で勲章を拒否した俺の様子にフェルモは
「……。人類最高の名誉を辞退する、その理由を聞かせてもらっても?」
「俺にはふさわしくないからだよ、フェルモ」
フェルモは
「そんなことはないでしょ? 戦場の
俺はそれに首を振り、さらに否定を重ねる。
「それらを達成できたのは、セシルがいたからに他ならない。だから、死の
俺のその様子を、ただ
「その様子だと、すぐに説得するのは無理なようだね。
俺は、この話がこれで終わりだと思っていた。しかし、現実はそうならなかった。
数日後に再びフェルモに呼び出された俺は、部屋に入るなり、すぐに軍の決定を伝えられた。
「ジェフ。君にはやっぱり、死の
「それは……」
俺が再び
「ジェフ。君の言う通り、史上五人目の死の
そして、じっと俺の目を見つめ、さらに続きを語るフェルモ。
「だから、君には史上六人目の死の
「どうしてそこまで……」
俺が
「軍が、と、言うよりは、政治家が英雄を必要としているからだよ。君も知っての通り、この大陸は今回の
俺は目を
「……。了解しました。セシルの
俺はそう答えるしかなかった。
どう断っても、この決定が
そして、そのためにお偉いさんたちが
それから急ピッチで式典の準備等が行われ、一週間(六日)後にはセシルと俺に死の
そのまま大規模なパレードが行われ、俺は多数の民衆の前を、無理やり作った笑顔で通り過ぎていかなくてはならなくなった。
やっとのことでパレードも終わり、ヘトヘトに疲れ切った俺が、自室のソファーの上で
「お疲れ様、ジェフ。まだ悲しみが
そう言って、ゆっくりと俺の隣に腰を下ろしたセシィは、そっと俺の頭を
俺のことをどこまでも理解してくれるセシィに感謝しながらも、俺は彼女にとって残酷な事実を告げなくてはならなかった。
「ありがとう、セシィ。そして、ごめん。俺はやはり、あの笑顔をどうやっても忘れられそうにない」
「しょうがないさ、ジェフ。あの笑顔は反則だからな。すっかり、ジェフの心を
そう言って
「その上で、もしよければ、なんだが……」
そう前置きをした俺は起き上がり、彼女の
「セシルのことをどうしても忘れられない俺が言えた義理じゃないのは分かっているんだが、それでも、そんな俺でよければ───」
俺は彼女の目をまっすぐに見つめ、その言葉を
「俺と結婚してくれないか?」
セシィは両目を
その
そして、ゆっくりと
「はい……。
俺はそれに優しく
そして、少し長い時間をかけて唇を合わせた。
やがて俺たちは、少し時間をかけてお互いに体を離した。
「
「もちろんだよ。ジェフがいい。ジェフじゃなきゃイヤだ。それに……、さ」
そう言って、少し
「ジェフの子供をたくさん産むことは、そのセシルが望んだことでもあるしな」
そのまま目を
「でも、セシルにも宣言した通り、
そんなセシィに、俺も今の思いを告げる。
「ああ。俺が言うのも変な話だが、ぜひとも
「勝ち目の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます