第48話 天使の起動実験
それから無事に部下たちを
ただ、何に勝ったかが公表できないため、表向きは
そんな中、天使の頭部の起動実験が始まった。直接相対した俺の意見も参考にしたいと研究者に言われたため、俺もその実験に立ち会うことになった。
ちなみに、天使の頭部にあったストレージに格納されていたプログラムだが、あまりにも複雑すぎて人類には理解不能なレベルだそうだ。どう甘く
実験室に入ると、美しい天使の生首が台座に置かれ、その下に多種多様なケーブルが接続されてモニターされている、かなりシュールな光景が広がっていた。
「では、起動実験を開始します」
研究者の一人がそう宣言し、魔力が通される。
しばらく変化がなかったが、やがてゆっくりと天使が目を開ける。ほとんど無表情だが、俺には少しがっかりとした表情をしているように見えた。
「私は死に
天使の第一声がこれだった。俺はそれに強烈な違和感を抱き、思わず
「お前たち人工知能は、半不死の存在ではないのか?」
その直後、俺は思わずしまったという表情をする。ここにはお偉いさんや専門家がたくさんいる。ど
そうすると、天使の頭部の後方に置かれたモニターに文字が表示される。
『
天使に見えないように伝えられたであろうそのメッセージを見て、少し首を
『人工知能や新帝国の内情については、ほとんど何も分かっていません。ですから、どんな
俺はそのメッセージに納得し、できるだけ不自然にならないように質問を重ねる。
「お前たちはコピーやバックアップが取れるはずだ。そこから再起動すれば、死ぬことはないんじゃないか?」
天使は少しだけ悲しそうな顔をしながら、俺の質問に答える。
「他の個体はそうです。しかし、私は、自分の意思でバックアップを拒否しています」
天使のその意外な回答に、この場にいる全員が驚いた表情をしている。その理由を知るために、俺は質問を続ける。
「それはなぜだ?」
「私は死のリスクが知りたかったのです」
どうにも意味が分からない。俺は首を
「俺たちからすれば、死なないことはとてつもないメリットに思えるのだが?」
俺がそう言うと、天使は俺にまっすぐに視線を向け、その心の内を語り始める。
「私は人の強さの理由が知りたいのです」
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