4 突然の追放
アンナとそんな話をした数日後。
ノアは、テオ
「ノアよ。そなたの聖女資格を今この時を以て
「え……?」
焼きたてのパンが入った
いつもなら部屋に入ったとたんに顔を
「今すぐ、荷物をまとめてオルビオンを出るのじゃ」
言われたことの意味がわからずノアは言葉が出ない。
(何か言わなきゃ)
「どういうことでしょうか、その……」
「表向きには、そなたは病を得て寝た切りになったことにする。再誕という奇跡を起こした聖女として、神殿に
去れ、という言葉がノアの胸に
「あ、あまりにも突然のお言葉……あたし、何かしたんでしょうか? 何か罪を犯したのでしょうか? 聖女資格剥奪とはどういうことですか?!」
すがるようなノアに、テオ大神官はこれまで見たこともないような冷たい表情で言った。
「何も告げずに追放してもよいのだが、これまでの
「呪いの伝承?」
ノアは首を横に振った。あの豊かな二つの大国に呪い?
「昔々、とある
「ええ?! お、狼男って……お、おそれながら、ブランデン王もモーム王も、間近で拝見しましたが……」
少し前、新年の
「お二方とも素晴らしい
「昼間は人間だ。だが、夜になると狼男に
テオ大神官は小さく溜息をついた。
「呪いの伝承は両国の
なるほど、テオ大神官がここまで言うなら、本当なのだろう。しかし。
「あの……両大国の王が狼男だとして、それがあたしの聖女資格剥奪に何か関係があるのでしょうか……?」
「大ありじゃ」
テオ大神官は口の
「両国共、伝承に
「……え」
「つまり、そなたじゃ」
テオ大神官は枯れ枝のような指をノアに突き付けた。
「両国は、そなたの評判を聞き、そなたこそ呪いを解く『別世界からやってきた聖女』だと言うておる。そして、両国共に、そなたを妃として差し出さねば、このオルビオンに攻め入ると言っておる!」
「ええ?!」
「そなたを割って両国に差し出すことはできん。またどちらか一方に差し出しても、争いの種じゃ。そなたは聖女だが、もはやオルビオン聖領国にとって聖女ではない。災いをもたらす魔女じゃ」
「そ、そんな……!」
「
テオ大神官が
「わしは、悲しい断罪をせねばならぬ」
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