サルフェイの森の小さな物語

燈華

「サルフェイの森」


サルフェイと呼ばれている森がある。

広大な森が広がるが人々はその森の奥深くまで立ち入ろうとはしない。

森の奥深くは妖精の領域だと言われている。

妖精たちは世界中どこにでもいる。

彼らの呼びかけに応えてはならない。

応えれば彼らの領域に連れ去られてしまうから。

連れ去られてしまえば二度と帰ってこられなくなる。

すべては妖精たちの気まぐれ。

人間の前に姿を現すのも、声を届けるのも。

妖精に心を傾けすぎてはならない。

彼らは人間とは違うものだから。

人間の常識とはまた違うところにいるものだから。

彼らに心を傾けすぎてしまうとーー




サルフェイの森。

その森には、妖精と人間の橋渡しをする隠者が住んでいるという。

妖精も人間も敬意を込めて彼をこう呼んだ。


"森の賢者"パーシファル・パーン、と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る