第十二話 少女


マヴナと分かれて、中之町の別の出没地点に向かう。

チャリに乗って、町に網の目のように広がる道を縫うようにペダルを踏む。

最後の勾配がヤバい坂を、チャリを降りずにあえて根性で登って、やっと事件現場にたどり着く。


(死ぬかと思った。)汗がにじみ、ペットボトルの水を貪るように飲む。

太陽は燦々と照り、蝉たちが鳴き、草が生い茂る。

するとそこに細い道の真ん中で立ち尽くす、髪の長い少女が見えてきた。

道の右側にはフェンス、左側には崩れかけた古民家があるが、どちらも背の長い草で覆われようとしている。


「そこで何してるんですか?」


しばらくボーッとしていたが、急に我に返って振り返る。


「あっ、ごめんね。道の真ん中で、、、邪魔だよね。」


「この場所に何か思い入れがあるのか?」


「うん。ここでね、お母さんが事件に巻き込まれたの。」


少女は悲しそうな目で遠くの方を見やる。


「、、、、、、もしかして、それは中之町能力者連続襲撃事件のことか?」


「あれ?君も知ってるんだ?

そう、私はその事件でお母さんは病院で寝たきりになってるの。

私は犯人を絶対に許さない。」


力強く拳を握りしめ、真っ直ぐにこちらを見やる。

それに対して俺も真っ直ぐに話すことにした。


「実は俺もその事件で意識不明になった親友がいるんだ。

もし犯人について情報があったら教えて欲しい。」

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