沈む世界より

翔る

第1話戦姫誕生

沈む…沈む……沈む………

寒い…暗い…

「私は死ぬのか」だんだん眠気が強くなって来た。睡魔に身を任せ目を閉じる。もう二度と光を見ることは無いだろう。凍てつく夜の海。鋼色の船の上。戦争の道具として生まれ育てられてきた1人の少女が戦姫(ヴァルキリー)と呼ばれた少女が今その短い生涯を閉じようとしている。


西暦3400年極東極寒の地にて今年もまた120名の名前を付けられることのないもの達。人の形をした兵器と呼ぶのが妥当か。その120名から10名選抜され各特殊小隊に組み込まれる。残りはだと?

そんなこと知ったことか。規格に合わなかったものは破棄される。使えないゴミであると判断されるのだ。

「今年はすごいぞ。」研究員の誰もが口を揃えて言う。「どれも自信作だと仰っていたな。」「しかし破棄があることは確かだ。」「ナンバーズ更新も有り得るな」ナンバーズ 歴代の採用機の中でもより性能が高いもの10機を集めたものだ。彼女らが唯一人権なる物を獲得する方法それがナンバーズに選出されることだ。「調子はどうだ?」「しゅー……」「まだ声は出ないか。」「もう少しだぞ百合…」

それから1週間 3400年1月10日「本日3400年版特殊特攻兵器を起動する」今日が戦姫(ヴァルキリー)の誕生日である。10人の新たな人形にはまだ名前はない。あるのは型番と識別番号だ。

彼女たちはこの戦乱の時代になにを思い、なにをしでかすのだろう。それは神のみぞ知るというやつだ。

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