第10話 夏休みとホラゲ配信
夏休みに入り、十二ゲーム放送局の生配信はほぼ毎日行われていた。今回は夏ということで、一年生メンバー3人でホラーゲーム「事故屋敷の捜査隊」の実況をすることに。
ミャー子「こんにちニャ~ンコ!というわけでアタシが操作で初めて行きたいと思います。」
カイ「そういえば、ミャー子ってホラゲーやったことあるのか?」
ミャー子「実は初めて~」
コメント「ミャー子、今日も可愛い。」
コメント「このホラゲーマジで怖いことで今話題だからな。」
コメント「トラウマにならないようにね~」
豪樹「ホントに怖いのか?単なる子供だましだろ。ホラゲなんて。」
ミャー子「そんなことで茶々言う豪樹がもっと子供でしょう?」
豪樹「あ!?誰がガキだと。」
そんな中ゲームが始まり、ミャー子が操作するキャラクターが古い洋館の中を歩いていた。
カイ「普段ってホラー映画とか見るのか?」
ミャー子「怖いから見ないかも。」
豪樹「俺はよく見るぞ。だから今回そんな怖くは感じないけどな。」
カイ「俺はビックリ系は苦手かも、お化け屋敷とかは全然平気だけど、ゲームとかのいきなり驚かせるのは無理だな。」
ミャー子「あれあれ~怖かったら泣きついてもいいのよ。」
カイ「それはしないし、したら俺はミャー子のリスナーに呪い殺されるわ。」
コメント「さすが新人。配信の事を分かっている。」
ミャー子「あれ、次のエリアへ行けない。」
ミャー子はゲームを進めていたが、先に進めなくなっていた。画面には「懐中電灯がないので先に進めない」と書いてあった。
カイ「ここ戻って左の部屋になかったか?」
ミャー子「左・・・・・・」
豪樹「バカ、右に行ってんぞ!」
コメント「左右逆に移動してるのかわよ。」
コメント「ミャー子アホの子かわいい」
ミャー子「コメント欄がバカにしてくるんだけど!」
豪樹「ホントの事だろ。」
カイ「そこ、懐中電灯あるだろ!」
懐中電灯を手に入れ、通れなかったところを通れるようになった。そのままライトを照らすと壁に不気味な絵が
カイ「こわっ。」
ミャー子「こんなことじゃ驚かないよ。」
豪樹はミャー子の隣で
豪樹「わっ!」
ミャー子「ミャ~!!」
コメント「悲鳴たすかる。」
コメント「豪樹よくやった。」
ミャー子「驚かさないでよ!」
豪樹「お前がそんなことじゃ驚かないって言ったから試しただけだ。」
ミャー子はコントローラーを取り、ゲームを再開した。
カイ「そろそろ来るかもな・・・・・・」
ミャー子「そろそろって・・・・・・怖いこと言わないでよ。」
カイ「さっきと態度が違うじゃないか・・・・・・」
ミャー子「うるさいバカ!」
カイ「涙目になってるぞ。」
ミャー子がぐるぐるとキャラを回していると赤いものが見えた。
カイ「ミャー子、90度左に回ってみ?」
ミャー子「え?」
ミャー子は指示通り動くとそこには血まみれの人間が倒れていた。
ミャー子「キャー!」
コメント「キャーたすかる。」
コメント「ミャーじゃないんかい(笑)」
コメント「ここ俺もビビったわ。」
ミャー子「い、今人が倒れてた・・・・・・」
カイ「まだ序盤だぞ。こんなことでギャアギャア言ってたら後半持たないぞ。」
ミャー子「じゃあカイくんが操作してよ!」
ミャー子はカイにコントローラーを渡した。
カイ「分かった。」
カイはゆっくり進んでいたミャー子とは違い、サクサクっとストーリーを進めていた。しかし、ちゃんと怖い要素のある所はゆっくりプレイした。その隣では
ミャー子「ギャ~!!」
と叫び続けているミャー子がいた。
豪樹「ミャー子、喉ガラガラになってんぞ。」
ミャー子「だってカイくんがわざわざ怖いところをゆっくりやるんだもん。」
コメント「カスカス声たすかる。」
コメント「カイくんもなかなか性格悪いな~」
カイ「せっかくのホラゲーなんだから大事なところはスキップしない方が視聴者にも見やすくていいだろ。」
コメント「視聴者にも優しいカイくんマジ神。」
コメント「ミャー子の絶叫も聞けたわけだし。」
ミャー子「このコメント欄アタシの味方がいないの・・・・・・」
次にカイに代わり豪樹がプレイすることに。怖いポイントでミャー子の絶叫にケタケタ笑っていた。
豪樹「俺がプレイしてミャー子が叫ぶの死ぬほどおもれぇ。」
ミャー子「そこ、そこいかないで。マジで」
豪樹「ハイハイ、と言いつつ行くんだよなこれが。」
コメントも「いいぞもっとやれ」のコメントで埋め尽くされていた。
カイ「こりゃ、ミャ虐だな。」
クライマックスの大絶叫シーンではあまりに怖すぎてミャー子が泣きに入ってしまった。
カイ「お疲れ様、今日はミャー子がかわいそうだったな。」
コメント「確かに(笑)」
コメント「かわいそうは可愛い。」
豪樹「じゃ、今日の配信はここまでだ。明日もまた配信やるからよろしくな。じゃあ今日は解散!」
豪樹が配信ボタンを切って配信を終わらせた。
改「・・・・・・猫柳、大丈夫か?」
都「鬼、悪魔、鬼畜ゲーマー!!」
豪樹「何言われても痛くもかゆくもねえな。」
改が終了後のコメントを見てみると
コメント「今日はたくさんのミャ虐が見れた。」
コメント「ミャー子の悲鳴は万病に効く。」
コメント「またホラー配信やってくんねえかな。」
と称賛のコメントで溢れかえっていた。
その日の夜、都ことミャー子は今日のホラゲー配信の感想雑談をしていた。
ミャー子「まだ声が元に戻らない・・・・・・」
コメント「あんなに叫んでたらな。」
コメント「ホラゲ配信お疲れ!」
しかし、それと同様ゴールドチャットもすごい数になっていた。
コメント「¥10,000・喉の治療に使って」
コメント「¥30,000・楽しんでもらった御礼です。」
ミャー子「ありがとう。ゴールドチャット感謝ニャ~!」
数時間後、隣の部屋に住んでいる改は家庭教師のバイトの準備をしていた。
改「これでよし。やること終わったし、昨日京谷におススメされたゲームでもするか・・・・・・」
とスマホを取った瞬間、玄関のチャイムが鳴った。
改「玄関ってことは猫柳だな。今日配信するんじゃなかったか?」
改はドアを開けるとピンクのパジャマ姿の都がいた。
都「あの、夜遅くにごめん。」
改「お前、何か用か?」
都「いやその・・・・・・頼みがあるんだけど・・・・・・」
改「なんだ?」
都「今晩、泊めてもらえない?」
改「ふーん・・・・・・えっ!?」
改は首を横に振った。
改「ダメダメダメ、何考えてんの!男の部屋に泊めてくれなんて!」
都「だってだって!怖いんだもの。」
改「さっきまで配信してたんじゃないのかよ。」
都「終わってお風呂入っていたのよ。そしたら背後に気配を感じて・・・・・・」
改「よくある話だよな。」
都「すぐにお風呂から上がって寝ようとしたのよ!でも部屋を暗くしたらもっと怖くなって・・・・・・」
改「あのさ、一応俺も男なんだけど襲われたりとかの心配はないのかよ。」
都「犬神くんはそんなことしないでしょ。」
改「まあ、そうだけど・・・・・・」
都「今晩だけでいいから、ねっ!」
改「・・・・・・今晩だけだからな。」
改は都を部屋に入れた。改がお腹をさすった。
改「そういえば集中しすぎてご飯食べるの忘れてた。」
都「そうだ、ご飯御馳走してあげるよ。今日臨時収入が入ったから。」
都がスマホで何かを注文した。数十分後、デリバリーが来た。
都「じゃーん!うな重特上で~す!」
都が頼んだのは浜松産の天然ウナギを使った特上うな重だった。
改「お・・・・・・お前、これいくらしたんだ・・・・・・」
都「えっと・・・・・・値段いくらだっけ?」
改「さっき会計済ましていただろ!」
都「カードでスパッよ。」
改「まだ、土用の丑の日は早いけど・・・・・・地元の高級ウナギが食えるんだ。」
改は箸でウナギをつかむと口に運んだ。
改「うっんま!!脂がのって一口入れただけでウナギのうまみが口いっぱいに広がる。」
都「食レポするんだ。」
改「いやいや、それくらい美味しいんだって。」
都もうな重を食べた。
都「うん、おいしい。」
改「感想それだけ!?」
都はお腹に入ればなんでもいいタイプのようだった。
ご飯を食べ終わった二人は寝ることに。前回{第4話参照}泊めた時と同じ、お客様用の布団で都は眠ることに。
改「・・・・・・眠れるか?」
都「・・・・・・天井にオバケが見える・・・・・・」
改「まだそんなこと言ってんのかよ・・・・・・」
都「何か面白い話して。」
改「無茶ぶりが過ぎるな・・・・・・」
改は何か面白い話がないか考えた。
改「そうだ、実家に取っ手の取れたやかんがあってな。でも俺どうしてもやかんを使いたくてそのまま沸騰させたんだよ。でも取っ手がないとやっぱりやかんって使い物にならないならないんだよ。そう、物が取ってなだけに、つかみどころない話・・・・・・な~んてな。」
都「スースー・・・・・・」
改「(いや、ぐっすりじゃねえかよ!!)」
第10話(完)
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