第4話 都のゲーム特訓
前回のあらすじ。大人気ヴァーチャルヴィーチューバー「ミャー子」は干支珠高校ゲーム実況部「フリーゲ」で行われている「アニマルファイター」の対決で煽りプレイをされた猿渡豪こと「豪樹」にリベンジをするため、元世界ランク1位の「犬氏」こと犬神改に手ほどきをしようとしていたが・・・・・・
改「アイツ・・・・・・時間になっても全然来ねぇ。」
メッセージでは「17時に犬神くんの家に集合♪」と書かれていた。普段は根暗な陰キャの変装をしているが、メッセージにはあの時とは全然キャラクターが違う。
改「まさかドタキャンとかじゃないだろうな。」
改は都の番号に電話をした。5回コールが鳴った後眠そうな声で都が電話に出た。
都「なに、アタシ寝てたのに・・・・・・」
改「寝てたじゃねえんだよ!今日から特訓するってことじゃないのかよ!」
都「明日にして~眠いから・・・・・・」
改「・・・・・・そうか、なら仕方ないな。あまりやりたくなかったがな・・・・・・お前の恥ずかしい写真をインターネットに拡散してもいいんだぞ。」
都「えっ・・・・・・それはダメ!!すぐ行くから!!」
慌てた様子の都はさっきまでの眠そうな声とは打って変わり電話越しからガサゴソと準備をしている。そのまま都は一方的に電話を切った。
改「・・・・・・悪いことしちゃったか?」
それから約一時間後・・・・・・オートロックの玄関から呼び出し音が鳴った。
都「はぁ・・・・・・犬・・・・・・がみ・・・・・・く・・・・・・」
改はモニター越しの都を見てびっくりした。
改「うわっ、汗びっしょりじゃないか!?鍵開けるから早く入ってこい!」
改はオートロック玄関のドアを開けて都をアパートに入れた。その後、玄関のドアを開けて都が入っていた。
都「お、おまたせ・・・・・・」
改「い、いらっしゃい・・・・・・」
都「これで、拡散するのはやめてくれるわよね。」
改「ああ、そのことか・・・・・・あれは、嘘だよ。お前が来ないとか言うからどうにかして来るように脅しをかけたんだよ。そもそも俺にそんな拡散するような写真とか持っていないし・・・・・・」
都はその場に座り込んだ。
改「わっ、悪かったって。でもお前も悪いからな・・・・・・約束をすっぽかそうとしたんだからおあいこということで・・・・・・」
改が和解に持ち掛けようとしたその時、どこかでお腹の虫がなった音が響いた。
都「その前にお腹すいた・・・・・・何でもいいから食べさせて・・・・・・」
都が上目遣い涙目で改の方を見つめた。改は「はぁ・・・・・・」と大きなため息をついた後。
改「とりあえず上げれよ。飯は用意するから・・・・・・」
改の部屋に入った都は机の前でカップラーメンができるのを待っていた。その間改は都が持ってきたゲーム機をテレビに繋げていた。
改「(久しぶりだな、ゲーム機に触れるなんて。)」
改はテレビにゲーム機を繋げた後コントローラーを手になじませた。
改「猫柳、一試合やっていいか?感覚を取り戻しておきたいんだ。」
都「ほうほ~(どうぞ~){カップ麺をすすりながら}」
改はゲームを起動し「アニマルファイター」をプレイすることに。
改「キャラ解放はしているんだな。」
都「いひようへ~(一応ね~)」
改「じゃあ久々にアイツを使うか・・・・・・」
改は当時アニマルファイターで一番使っていた二頭身犬のキャラクター「ガルベロス」を選択した。
改「じゃあ・・・・・・ゲームを始めるか。「Play the GAME・・・・・・」」
改はゲームを始めるときにこの言葉を口にするらしい。早速最強レベルのコンピューターと対戦することに。しかし改のプレイはとても1年のブランクを感じさせないコントローラー捌きで一度もダメージを食らわずに相手キャラを倒してしまった。
改「(何度かアップデートとかかかっていると思うけどそんなに動きも操作も変わってないな。)」
そんなことを思いつつ2戦目も一度もダメージを受けずに相手を倒しパーフェクトKOを達成した。
改「猫柳、とりあえずやってみるか?」
都「・・・・・・。」
都は画面を見ながら口をぽかーんと開けていた。
改「どうした、まるで別次元の世界でも見ているかのような顔しているけど。」
都「いや、まるでじゃなくてまんまそうなのよ!私あんなプレイできないわよ!」
改「いや、このプレイをやれとか言うわけではないから。」
改はもう一つのコントローラーを都に渡した。
改「とりあえず猫柳の実力が見たいから一度対戦してみないか?」
都「ひ~殺される・・・・・・」
改「殺したりしないって・・・・・・」
都はコントローラーを握ると対人プレイをすることに。
改「猫柳は「ニャプラー」を使うのか。{ニャプラーとは二頭身の猫で動きがすばしっこいのが特徴のキャラクターである}」
改は図体のでかい像の「エレファス」を使った。パワー型だが動きが遅く一撃ごとに隙が出てきてしまうのが玉に瑕なキャラである。
都「よ~しやるぞ~」
やる気満々だがゲーム中に彼女が最弱だという理由が判明してしまう。
改「・・・・・・。」
改の使うエレファスはひたすらガードをしていた。そして素早さが売りのニャプラーだが使っているのは攻撃技ばかり。しかも隣でガチャガチャ音を鳴らす脳筋プレイだった。
都「なんで、こんなに攻撃しているのに全然効かんやん!」
改「・・・・・・。」
都「くっ、このっ、当たれ!」
改はひたすらガードをしてダメージを最小限に抑えた。そしてカウンター攻撃をすると大ダメージを受け、数回の攻撃でダウンした。
都「あれ、おかしいな・・・・・・次は絶対いけるって・・・・・・」
改「ちょっと待て、猫柳。お前どのボタンがなんの必殺技か覚えているのか?」
都「ううん。ボタンを押して出てきた技でやっているけど。」
改「・・・・・・もういい、お前の敗北の原因が分かった。まずはゲームの基礎中の基礎を教えよう・・・・・・」
都「基礎中の基礎?」
改「まずは操作方法をもう一度確認しろ。」
都「え~面倒くさい。アタシ説明書とか読みたくないタイプだし~」
改「そんなこと言ってる場合か!猿渡に勝ちたいんだろ!」
都「そやけど~」
改「急に関西人になってもダメ!」
都「は~い。」
都は渋々ながら説明書を読み始めた。数分後、今度は実際に操作してみることに、都は呑み込みが早いのか、ある程度基本操作はできるようになった。
都「見たか、これがミャ~子ちゃんの実力だ~!」
改「これはあくまでコンピューター相手に勝てるやり方だから対人戦だと経験がものをいうからな。」
改はインターネットに繋げて都に対人戦をするようにした。
都「これさえマスターすればアタシでも楽勝に勝てるでしょう♡」
改「(それはどうかな・・・・・・)」
それから数分後・・・・・・
都「なんで勝てんの~!!!」
都は一試合を完敗で終え、泣き叫んでいた。
改「だから言っただろ。コンピューターに勝てたからって対人戦で勝てるとは限らないってことだよ。
都「そんなこと言ったって私ゲームをあまりしないから分からないの!」
改「じゃあなんで干支珠高校に入ったんだよ。フリーゲはゲーム配信のチャンネルだって知っているだろう。」
都はコントローラーをその場に置いた。
都「私、これを機にゲームが好きになりたいのよ。」
改「どういうことだ?」
都「私には1つ下の妹がいるんだけど、彼女がゲームかなり強くてね。当時は一緒にやっていたこともあったけど負け続けるにつれてだんだんゲームが嫌いになっちゃってね。ゲーフリの入部も最初は断ろうとしたのだけどいつまでも逃げっぱなしも嫌だし、リスナーからもゲーム実況やってほしいって言われて新しいジャンルを切り開いていこうと思ってね。」
改「でも、計画が狂ってしまった。ガチゲーマー豪樹の加入によって本気のゲームをすることになってしまった。」
都「それもそうだけどやっぱり勝ちたい。いつまでも豪樹の好き勝手にさせたくないの。」
改「・・・・・・猫柳も負けず嫌いなんだな。なら俺も出来ることなら協力するよ。」
都「うん、ありがと。」
改「でも、今日は遅いから続きはまた今度にしようぜ。」
改が壁にかけている時計を指差した。時刻は8時を超えていた。
都「そっか、じゃあゲーム機は置いておいて。持って帰るの面倒くさいし。」
改「は!?」
都「今日急いできたから財布とか置いてきたの。」
改「なら俺が送っていくよ。夜道1人は危ないぞ。」
都「大丈夫だって、じゃあまた明日~」
都はそう言い家を出て行った。
改「大丈夫かな・・・・・・」
改は追いかけようとしたが相手は人気ヴィーチューバーだ。素顔がばれたりしたら大変だし追いかけようものなら最悪ストーカーに思われ警察沙汰になったら人生が終わってしまう。
改「なにもしないうちが花か。それにいざとなれば連絡が来る・・・・・・と信じたい。」
改は嫌なものを振り払うように頭を横に振った。
改「考えすぎか・・・・・・さて、腹減ったし飯でも作るか。」
お腹がすいた改は今日と明日の分のカレーを作りはじめた。作り続けてカレーを煮込むところまで来たとき、窓を見ると大雨が降っていた。
改「今日予報雨だっけな?カレー作りに集中しすぎて気付かなかったか・・・・・・」
改はカーテンを閉めようとしたその時、オートロックの玄関から呼び出し音が鳴った。
改「誰だ、こんな遅い時間に?」
改がモニター画面を覗くとそこには白髪で全身びしょ濡れの女子高生がいた。
改「わぁ、幽霊!」
都「猫柳です・・・・・・」
改「猫柳!?帰ったんじゃ?」
都「話せば長くなるけど・・・・・・」
改「なら早く上がれ!このままだと風邪ひく!」
改はオートロック玄関のドアを開けて都をアパートに入れた。その後、玄関のドアを開けて都が入っていた。
都「酷い目にあった・・・・・・」
改「とっ、とりあえず体拭け・・・・・・」
都「えっ・・・・・・あっ。」
都の制服は雨で濡れていたせいか制服から下着が透けていた。改はすぐに目をそらし都にお風呂場に案内した。
改「俺、もしかして人生終わる・・・・・・?」
改が悶えていると、スマホから着信音が聞こえた。電話の相手は妹の狛枝だった。
改「なんだよ。」
狛枝「なんだとは随分なあいさつやね。どう、学校には慣れた?」
改「・・・・・・何とかな。いろいろ充実しているよ。」
狛枝「兄さん、あのこと忘れてない?干支珠のスカウトの事。」
改「あ~そのことか・・・・・・」
狛枝「もしかして忘れてたん?」
改「いや、忘れているわけじゃないけど・・・・・・」
その時、シャワーを浴び、改に着替えを借りた都が首にタオルを掛けながらリビングに戻ってきた。
都「助かった。お風呂ありがとね。」
改「あ、そうか。」
狛枝は突然の女性の声に驚きを隠せない状態だった。
狛枝「今、女の人の声が聞こえたんだけどまさか彼女でもできたん!?」
改「バッ、違っ!」
都「あ、ごめん。電話中だった?」
改「だ~!!話しかけんな!」
この後、狛枝の誤解を解くのにかなりの時間を費やした。
改「疲れた・・・・・・」
都「妹さんいい人だったね。そういえば狛犬ベロスさんの正体って」
改「・・・・・・しまった。それ言えばすぐに解決できたじゃないか。」
都「今度紹介してよ。」
改「もういいよ。俺メシ食うからな。」
都「晩御飯?カレー私も食べたい。」
改「おまっ、さっきカップ麺食ってたじゃねえか!」
都「今どきの女子高生は食べ盛りですからにゃ~」
改「・・・・・・太っても俺は責任取れんぞ。」
都「やった~♪」
改「(なんで俺はただのクラスメイトを家に上げて、風呂入れて服貸してご飯を食わせているんだ・・・・・・普通に考えてもおかしいだろ。)」
改はおかしいと思いながらでも考えたら負けだと思い考えるのをやめた。
都「いただきま~す。」
改「い、いただきます・・・・・・」
都はおいしそうにカレーを頬張る。
都「うまっ!犬神くん料理上手だったんだね。」
改「いや、一人暮らしで生活するんだぞ。飯作れないと大変だろ。」
都「私、デリバリーかカップ麺だよ。」
改「(ぐっ・・・・・・やっぱ人気動画投稿者は違うな・・・・・・)」
しかし都がおいしそうにカレーを食べる姿を見て改は少しうれしそうになった。
それから数日後・・・・・・ついにアニマルファイターの本戦が始まる・・・・・・
第4話(完)
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