僕らの戦い

綿菓子

第1話大切な話

第一話


突然だが、僕は三ヶ月後に死ぬ。 最近流行り始めた謎の病気にかかってしまったからだ。せっかく中学生になったというのに病気のせいで学校に行けていない。単位が落ちるので早く治したいが、最近できた病気なので治療法が分からないのだという。早く治療法が見つかるといいが。

この病気は人体石化症という名前がつけられているようだ。少しずつ体が石になっていき、歳など関係なしに三ヶ月で完全に石になるという。

僕はまだなりかけだから、足が少し石になっている程度だが、この病院にいるほとんどの患者は、石化が身体の半分以上まで及んでいる。いつか僕もああなっていって死んでしまうのだろうか。

……先程早く治したいと言ったが、実は治らなくてもいいやと思っている。何を言っているんだと思われるかもしれないが、ちゃんと理由もある。

どうせ病気が治ったら中学で親に言われた部活をし、親に言われたものを食べ、親に言われた高校へ行く。そんな風に親に操られるのは嫌だ。

だが、反抗するのはそれはそれで嫌だ。だからこのまま石化したら親に反抗したことになるかもしれない。

というバカな想像は置いといて、ただ石化し終わったらどんな風に死ぬのか興味があるだけだ。聞いた話では、口まで石化するとそこから中も石化していき、その頃になると定期的に麻酔を打たれ眠ったまま息が出来ずに死んでいくそうだ。眠ってるとはいえしんどくないのだろうか。

そんな事を考えていると薬を飲む時間になった。どの薬を飲めば治るか分からないので毎日違う薬を飲んで、少しでも効果があるか見るそうだ。

今まで飲んできた薬は苦かったから、甘いのが良いなぁと思っていると、初めて会う医師が来た。

医師は薬を持っておらず、代わりと言ってはなんだが麻酔と手術の道具を持っていた。何をするのか分からず混乱していると麻酔を打たれ、睡魔が僕を襲った。気がつくと僕の足が無くなっていた。いや、取られていた。

...どういうことなのか分からない。困惑しながらも医師の方を見てみると「他の患者の石化した腕を、手術で切り取ってみたら、石化が止まったから取った。義足をつけるつもりだから大丈夫だ」と言われた。

...いや大丈夫じゃないんだが⁉︎説明してくれたのは有り難いが取る前に一言言って欲しかった。しかしこんなあっさり治るとは思わなかった。これで家に帰れると思ったが、「リハビリが必要だからまだ病院に居なくてはいけない」と言われてしまった。

そして「大切な話があるから待っていて欲しい」と言われた。大切な話とはなんなのだろうか。と思っているといつのまにか義足が付けられていた。

義足を初めて見たが、なんだかロボットみたいでカッコいい✨……何を言ってるんだ僕は、急に精神年齢がさがりでもしたのか?いや……ただ僕がバカなだけか。

そういえばそろそろ昼ご飯の時間だな。今日の昼ご飯はなんだろう。昼食を楽しみに待っていると、さっき足を取った男がやってきた。今度は僕の昼食を持って。

先程の大切な話というのをご飯を食べながら話してくれるようだ。その話を聞いた僕は、呆然としてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る