アン

 あの日の事ですか? 私はキッチンにおりました。昼食の準備をしておりまして、ええ、食事は大抵私が、それにお掃除も私がしております。保管方法ですか? ええ、以前から鍵のかかるキャビネットに、ですが最近は旦那様も鍵をかけておられ無かったもので、ええ。人の事を余り悪く言いたくは無いですが、お隣のドナルドソンさん、あの方、お酒に酔ってその、暴れる事がありまして。この間なんて、ポップコーンを作るんだって大きな声で、喚きながらお庭に火を、それで旦那様も。マリアですか? あの子は私が奥様に紹介を、私も年ですので。お嬢様が大きくなられて私一人では、それで。よくやっていますよ、ですから、ええ、あの日はタイミングが、そうタイミングが良く無かったんです。私にはそうとしか、ええ、言えませんわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る