死への登山

栗亀夏月

プロローグ

木曽昇(きそのぼる)があのつまらない、デスクワークばかりの仕事を辞めたのは約1年前だ。

理由は明瞭だった。山というものの偉大さに取り憑かれてしまったのだ。

友人の誘いで初めて山に登った。頂上から見たあの景色は、現実世界の疲れを吹き飛ばした。翌週には5年働いた会社に辞表を叩きつけ、山岳カメラマンとして生活することを決めた。


山にはとんでもない魔力があるのだ。人生を一瞬で変えてしまうほどの、そしてその魔力は良い方向へも悪い方向へも淀みなく流れている。

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