第14話 サリンの過去

 パーティーは終わり、カザエシサの皆で、飲み会をする事になった。


「はあ、もう…受けは嫌だ!」


「俺も、受けは嫌だ!

受けの人達は凄いよな、そこの3人」


「そこの3人ってなんなのよ!カイ!

私だって…カイに攻めたかったのに!」


「そうよ!そうよ!私だって…サリンに攻めたかったのに!

それに、サリンが1番受けまくってるんだから!」


「サリンこれまで、何人の受けをしてきたのよ!」


「なんで、そうなる!まだ、5人だ!

それも、1人はラシル様だし…」


「まあ、攻め受け話はこれで、終わり!

乾杯」

「乾杯」


 攻め受け話したの、お前だろ!ザルド!

 なに、俺は、攻め受け話してないよー?みたいにしやがって!


「うー!酒はやっぱりうめえー!」


「サリン、あまり飲みすぎ無いようにね?

酔うと、甘えん坊になるだから」


「なるわけないよ!」


 シズミが言った通り、俺は酔いすぎると、甘えん坊になってしまう!

 だが、この4人は知っていても大丈夫だ!

 6人にばれなければ…


「6人に言ってないだろうな?

俺が酔うと、甘えん坊になるって!

ばれたら必ず、酔わせてくるはずだからな!」


「…」


 4人は黙った。

 楽しそうに飲んでいたのに…

 俺が聞いた瞬間黙ったのだ…

 これは…まさか…そんなはずがない!

 だが…黙る理由がみつからない…

 恐る恐る聴いてみた…


「もしかして…言ったわけ…無いよな?」


「…皆…酔わせろ!サリンを酔わせるだ!

酔わせてから、誰に言ったか言えばいい!」


 カイがそう言った瞬間…

 4人は、ビールが入っている瓶を、丸ごと飲ませてきた…


「一気は駄目だから、ちょくちょく、飲ませるわよ!

カイ、ザルド、必ず離すんじゃないわよ!

離したら、死ぬと思いなさい!」


「分かってるよ!」


 おい!駄目だろ!エミン!なに言ってるんだ!

 瓶丸ごと1本だぞ!ちょくちょくでも駄目だろ!

 味わって飲めないだろ!

 カイ、ザルド、分かってるよ!でも無いんだよ!

 てか、ビールのせいか、力が出ない…


「エミン!サリンの力が弱くなってきた!」


「分かったわ!カイ!

後もう少しで、ビール1本飲み終わるから!」


 そして…俺は酔った…

 ビール瓶1本を飲めば酔ってしまう。

 4人は5本飲んでも、酔わないぐらいの酒豪なのだ。

 4人は酒が好きで、酒豪でよかったと言うが…俺は…

 4人と一緒で酒が好きなのに、酒豪じゃない!


「てか、サリンってまだ、酒豪になれてないんだな…酒好きなのに」


「俺だって、酒豪に、なりたいよ!

でも!、どこぞかの、王子、王女、達が、影の者、に、なれ!、って、うるさい、せいで、酒、飲めて、無いんだよ!」


「それは…ごめんなさい!」


「シズミ、膝枕!」


「はいはい、甘えん坊さんですね」


「誰だよ!、甘えん坊、に、したの!

それで!、誰が、誰に、言ったんだよ!、分かる、けど!」


 ザルドがラルとルラに言った時の会話。


「ザルド兄さん、サリンさんの、弱点とかありますか?」


「んー…あるにはあるんだが…」


「言ってください!ザルド兄さん!」


「ラルとルラに言われたら、しょうがないな…

サリンは、ビール瓶1本全部飲むと、甘えん坊になるんだぞ」


「ラル…」

「ルラ…」


「ラル、明日のために、ビール準備するぞー!」


「おー!」


 うん…まあ…サリンすまねえ!


 エミンがエミリとエミルに言った時の会話。


「エミン姉さん、サリンさんの、弱点とかありますか?」


「んー…あるにはあるんだけど…」


「言って…くだ…さい!…エミン…姉さん」


「エミリとエミルに言われたら、しょうがないわね…

サリンは、ビール瓶1本全部飲むと、甘えん坊になるのよ」


「エミリ…」

「エミル…」


「エミリ…明日の…ために…ビール…準備…しよ」


「おー!」


 うん…まあ…サリンごめん!


 シズミがエリスとアルに言った時の会話。


「ママ、パパの、弱点とかあるの?」


「んー…あるにはあるんだけど…」


「言ってください!お母様」


「エリスとアルに言われたら、しょうがないわね…

サリンは、ビール瓶1本全部飲むと、甘えん坊になるのよ」


「エリス…」

「アル…」


「エリス明日のために、ビール準備しよ」


「おー!」


「ビール飲ますときは、ママがいてからね?」


「分かってるよ!」


 うん…まあ…サリンごめん!


 カイがラシルに言った時の会話。


「カイ、サリンの弱点とかある?」


「んー…あるにはあるんですけど…

なぜ、僕なんですかね?シズミに聞けば良くないですか?」


「だって、他の3人は聞かれているだろうけど、カイに聞く人いないだろ?

だから、聞いた!それ以外に理由はない!」


「ラシル様に言われたら、言うしかありませんね…

サリンは、ビール瓶1本全部飲むと、甘えん坊になるんですよ」


「カイ…ありがとう!

酔わせて、酔わせて、酔わせて、酔わせて、酔わせて、酔わせてやるからなー!サリンー!」


「よし!明日の準備するか!」


 うん…まあ…ラシル様だもん!サリンすまねえ!


 全員明日かよ!なんでなんだよ!


「ゲホゲホ」


「サリン!サリン!どうしたの!」


 シズミがそう言った瞬間…

 ベルの音が聞こえた…


「このベルの音!魔物が攻めてきている音だ!」


「カイそれは分かるわよ!

でも…なんで…なんでサリンが血を吐いたのよ!」


「それはサリンが、魔力探知をしていたからよ」


「アマン様!?それはいったい、どういう事ですか?」


「ザルド達は分からないか。

魔力探知している時急に、魔物が何千万急に現れたんだ。

頭が情報オーバーして、血を吐いてしまう」


 早く…行かないと…


「サリン!動いたら駄目!」


「王家は国民を守るんだろ?

俺は…王家の人3人と、4人と結婚の予定なんだ!

俺は…何があっても、国民を、家族を守らないていけないんだ!」


 (獣魔達、魔物からアマン国を守る!

 一緒に戦ってくれるか?)


 (あたりまえだ!)


「3人は国民の避難を頼む!

ここは、俺と獣魔に任せてくれ!」


 魔法を使うために、城の上に行こう。


 (魔物達から結界を破壊されたら、魔力を飲み終わるまで、倒していてくれ)


 (働きすぎな気がするけど…信じるね!)


 (ありがとう皆)


 魔物結界×1万倍 全属性結界×1万倍

 ヒミシイコカヒヤの炎×10倍


 ヒミシイコカヒヤの炎


 全属性の炎が降ってくる。

 全属性の炎を1回1回言うと、少しでも時間が長い、だから縮めるために、全属性の後に炎を言う。


 魔力を速く…誰だこの魔人…なんで、目の前にいるんだ!


「うん…お前、あの2人の匂いがする。

あの2人の子供って事か…」


「どういう事だ?そして、お前は誰だ?!」


「魔力を飲ませるとでも?」


 魔人の手が俺の腹を殴った…

 そして…アマン山まで飛ばされた。


「ゲホゲホ」


 あ…骨がいった…手が…動かない…


 (サリン!大丈夫か?!)


 (ラシル様…無理です…手が…動かない…

あの、魔人に…気をつけて…ください…あいつは…強い!)


 (分かってるよ!あいつは…勇者が倒した。

魔王ガザリンの匂いだ!)


 (魔王ガザリンって…勇者と相討ちになった?)


 (ああ!そうだ!

ガザリンが何か言おうとしている…聴覚共有する!)


「アマン国の国民よ聞け!我は…魔王ガザリン、勇者と相討ちした者だ!

そして…我を倒せる者はいなくなった!

城の上にいた、勇者の子供を行動不能にした!

魔物どもに言う!お前らの好みの人間以外殺していい!」


 ふざけるな!


 (ラシル様…獣魔達は?)


 (魔物達と戦っている…だが…残っている魔物が、キングとクイーンだけだ。

ガザリンが戦ったら、アマン国は落とされる。

サリン…行きたいんだが…すまない…)


 (いえ…自分の体だからわかります…

助からない事を。)


 はあ、情けない…守るって言ったのに!

 獣魔達が、戦っていてくれているのに…

 皆が国民を守ろうと、行動しているのに…

 俺は…俺は…なんで…なにもできないんだ!

 誰でもいい!…誰か…誰か力をくれ!

 国民を、皆を、助ける力をくれ!

 守れたら、死んでもいい!魔物になってもいい!

 頼む…おねがいします…皆を守る力を…ください…


「さすが、俺達の子だ!」


「そうね」


「貴方方は誰ですか?それに…俺達の子って」


「俺は、勇者カタン」


「私は、カタンの妻、勇者マナ」


「カタン様、マナ様、力をくれるんですか?」


「与える、いや…サリンの封印している力を解放する。

だが、解放するためには、辛い過去をみてもらう、それでもいいか?」


「はい!俺は…親も、過去の記憶もありません…

過去を知り、力を解放できるのであれば、お願いします!」


「なら、目をつぶりなさい」


「分かりました」


 マナ様に、目をつぶりなさいと言われ、目をつぶった。


「サリンの封印している記憶を解放する!

解放する魔神の名はカタン。

その辛かった記憶を見て、真の力を与える」


「もう目を開けていいぞ」


 ん…目を開けると…上には、魔王ガザリンと勇者カタン、勇者マナが戦っていた。

 そこの景色は実物では、見たこと無い景色だった。

 勇者の本という本で、見たことがある景色だ。


「ここって、もしかして…」


「ああ、そうだ、俺達が相討ちした時の日だ」


「でもなぜ?この日にいるんですか?」


「サリンには、見て欲しい子がいるの」


「見て欲しい子?」


 聞いた時に、上で戦っていた、魔王ガザリン、勇者カタン、勇者マナ、は下に落ちていった。


「それじゃあ、見に行こう。

5歳のサリンを」


 5歳のサリン!?どういう事だ?

 でも、これは過去の日。

 5歳の俺を見て何があるんだ?


 勇者カタンについていった場所は…

 勇者カタン、勇者マナが倒れていた…

 そして、1人の小さい子供が近付いてきた。


「ママ!パパ!起きてよ!ねえ!なんで寝ているの?!速く家に帰ろうよ!

パパ!ママ!無視は辞めて!パパ!ママ」


 と、泣きながら言っている子供がいた。


「この子って…もしかして?」


「小さい頃のサリンだよ。

俺達はサリンを置いて、死んでしまった」


「サリン…カタンとマナは生きていない…」


「ラシル様…なんで…帰ってくるって…言った!

パパとママは帰ってくるって!言った!」


「もう…帰ってこない…カタンとマナは帰ってこない…」


「あ…あ、あー!」


 小さい俺は、親が死んだと分かって。

 泣いて泣いて泣きまくった…

 そして、寝てしまった。


「明日のサリンを見てみよう」


「どうしてです?マナ様」


「マナ様はいらないわよ?ママでいいのよ?

明日は、サリンの昔の記憶が無い理由が分かる日」


 俺の昔の記憶が無い理由が分かる日?


 そして、また、見たことが無い景色を見た。


「これって別の日ですか?」


「そうだ、俺達が亡くなった日の、明日だ。

そして、この家は俺達の家だ」


 小さい俺が魔法を使っていた。

 だが、辛そうな顔をしている。


「あれって?小さい頃の俺、辛そうな顔をしているんですけど…」


「限界突破をしまくっているサリンよ…

限界突破をしまくっていりと言うより、無理矢理限界突破をしていると言った方がいいのかな?」


 無理矢理に限界突破をしている!?

 無理矢理に限界突破をするのは、体に負担がかかりまくる。

 無理矢理に限界突破を続けていると、体の一部が壊れていく。

 それでも、無理矢理に限界突破をすると…最後には…自分の心臓が壊れ死ぬ。


「まだ、5歳なんでしょ?無理矢理に限界突破していたら…」


「そうだな…すぐ死んだりするだろう。

だが、サリンは魔人の血がある。

それに回復魔法を使い続け、完全回復も覚えた」


「そして、神様、魔神様が、サリンの記憶を封印していいか?と聞いて来たのよ」


「サリンがこのまんま、無理矢理限界突破をしまくると、魔人を殺しまくるかもしれないからだ」


「私達を殺した魔人を憎み…

生きている魔人を憎んだ…

だから、無理矢理限界突破をしまくり、誰よりも強くなろうとした」


「これが、昔の記憶が無い理由よ、サリン。

それでも、記憶を解放する?

解放したら、魔人を憎むかもしれない…それでも…解放するか?」


「解放したいです!

魔人を憎んだりしない!

それに…パパとママといた大切な5年間の記憶が欲しい!」


「そうか、なら解放するな」


「自分の過去を見たのに、その記憶が欲しい!と答えた!

全属性の魔神カタンは、他の神、魔神に聞く!

サリンの記憶を解放していいか!?

…分かった!8人の神から許可を貰えた!

サリン…記憶解放する…いいんだな?」


「はい!魔神カタン様、大丈夫です!」


「本人からも許可を貰った!

サリンの記憶を解放!」


 とパパが言った瞬間…目の前が白くなった。

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