第2話

「田辺恵一だな」

珪砂が麻雀店から出てきた男に

呼びかけた。

「チッ、お約束か」

「何が」

「マージャン店」

「テメェがやってたんじゃねぇか」

珪砂が田辺に足払いをした。

コケる田辺。

「ついてこい」

珪砂がそういうと、観念したように

田辺が珪砂の後についた。


取調室は夏の熱気で蒸し風呂のようだった。

「オマエが、ホストの飯島を殺したんだろう!」

珪砂が机を叩いて大声を出した。

「やってねぇよ」

田辺が椅子に凭れて頭の後ろで手を組んだ。

「ケッ、テメェに決まってんだよ」

「旦那、勾留期限が迫ってます」

チビが急かした。

「わかった」

珪砂が自分のこめかみに人差し指を当てて

「バーン」

と、叫んだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る