第11話 忠告
実家に帰ります
ふん、勝手にしろ!
と、そのメモ書きをくしゃくしゃに丸めて屑籠に投げた。が、的をはずれてメモ書きは部屋をころころと転がる。
あ、思い出した。
まだ結婚もしていない若いころ、机の上に書いた覚えのないメモ書きを見つけたことがある。それには「実家に帰ります」と書かれてあった。知らない筆跡だった。
あれはこれだったのか。
確かめるような気持ちでくしゃくしゃにしたメモ書きを拾いあげ、広げてみた。
白紙だった。
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