午前4時の深呼吸

智依四羽

午前4時の深呼吸

 あなたが泊まりに来た日には、私は必ず起きている。

 あなたが寝息を立てる間に、私は瞼を閉じもせず、あなたの寝顔を見つめてる。


 あなたは私を友達と、いとも容易く言うけれど。

 私はあなたを友達と、決して容易く言えやしない。


 私はあなたを愛してる。1人の人とし女とし。

 声も、顔も、髪も、指も、耳も、脚も、何もかも、あなたの全てを愛してる。


 されどあなたは気付かない。私が朝まで起きぬこと。

 されどあなたは気付かない。私があなたを求むこと。



 今日もまた、私は眠らず夜が耽ける。

 あなたが居る時間を、1秒足りとも逃したくないから。

 限られた人生の中で、あなたと居られる時間を堪能したいから。


 私は1人、深呼吸をする。

 私と同じシャンプーの匂いが、あなたの髪から香ってくる。


 気付けば時刻は午前4時。

 あと3時間で、あなたはきっと、目を覚ます。


 それまで私は、終わりへ向かう至高の時間を、ゆったり、ゆったりと、静かに味わう。

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午前4時の深呼吸 智依四羽 @ZO-KALAR

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