取り調べ(2)
「三番、調べだ」
声と同時に、ガチャガチャという音。警官が、扉の鍵を開けているのだ。
次いで、金属音とともに独房の扉が開く。この三番とは、明彦に付けられた番号である。場所にもよるが、基本的に留置場では本名で呼ばれることは少ない。やはり、容疑者の段階で本名を他の人間に知られるのはまずいという配慮なのかもしれない。調べとは、取り調べの略である。
朝から取り調べとは、ご苦労さまな話だ。明彦は体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。
独房を出ると同時に、留置場係の警官に手錠をかけられた。さらに、腰縄を巻かれる。明彦はこれから、繋がれた飼い犬のような姿で、警察署内を歩いていくのだ。一般人には見られないルートを歩いてはいるが、気分のいいものではない。
「担当さん、この居心地の悪さは何とかならないんですか? もうちょっと予算を増やして、居心地良くしてもらってくださいよ」
警官に向かい、軽口を叩いた。留置場係の警官を、担当さんと呼ばせるのがここの警察署のルールらしい。
しかし、警官は冷ややかな目を向けた。
「いいから、黙って歩け」
口調もまた冷たいものだった。無駄話に付き合う気はないらしい。他の容疑者に対する態度とは、まるで違うものだった。明彦は思わず苦笑する。
「おやおや、話したくもないってわけですか。せっかくだから仲良くしたかったんですが、無理なんですか。悲しい話ですね。わかりましたよ。もう話しかけませんので、ご安心ください」
軽口を叩いた。取り調べに対し否認している容疑者は、こういう目に遭いやすい。
普通、容疑者は雑居房に入れられる。そうなると、周りの者から留置場での生活システムについて教えてもらえるのだ。また、留置係の警官も話しかければ答えてくれる。
ところが独房に入れられれば、話す相手がいない状態で生活をしなくてはならない。しかも、係の警官の態度も冷たい。慣れない留置場生活を、たったひとりでこなさねばならない……この段階から、警察側のメンタル面をチクチク攻める攻撃が始まっているのである。
その上、明彦には接見禁止が付けられている。弁護士以外の人間は、一切面会できないという措置だ。軽犯罪法違反で拘留された人間には、有り得ない話である。
取り調べ室にて待っていたのは、前回と同じく日村刑事であった。相変わらず地味なスーツ姿だ。
「おはよう。調子はどうだい?」
明彦が取り調べ室に入るなり、日村は親しげな態度で聞いてきた。にこにこしているが、目が笑っていないのも前回と全く同じだ。
「いやあ、最悪ですね。何なんですか、あの朝飯は。最初、おかずが来るもんだと思って、食べずにしばらく待ってましたよ」
顔を歪めつつ答える。
留置場の朝食は、本当にひどいものだった。白いポリエチレン容器に入ったご飯と、お椀に入った味噌汁、それだけである。一応、ご飯の容器の中には、ふりかけとたくあんが添えられていた。かろうじて味だけは付いている白飯、そんな感じだ。栄養のバランスなど、まるで考えていない炭水化物のみの食事である。三大栄養素のうち、もっとも値段の安い炭水化物を多く食べさせ、それで腹を膨らませようという魂胆なのだろう。
これでも一応は、資格を持った栄養士が献立を考えているという話ではあるが、本当なのだろうか。
「あと、地検のアレは何なんですか。大の男に手錠をかけて、狭い部屋の中に八人も詰め込んで……あんなもん、人権もクソもないですよ。この時点で、もはや囚人の仲間入りなんですね」
不快な感情をあらわにした顔で、さらに語り続ける。
地検のアレとは、東京地検にて検事調べを待つ容疑者たち専用の待合室のことだ。何もない狭い部屋に、数人の容疑者を詰め込んで木製の硬い椅子に座らせる。しかも、手錠をかけられた状態でだ。この手錠は、用を足す時以外は外すことを許されない。
その上、容疑者同士の会話は禁止されている。容疑者は狭い部屋中で硬いベンチに横並びの状態で座り、無言のまま検事から呼ばれるのをじっと待っていなくてはならない。容疑者同士で喋っていたりすると、いかつい職員が「喋るなと言ってんだろうが! わからねえのか!」などと罵声を浴びせてくる。もし彼らに逆らえば、公務執行妨害で罪を増やすこととなるのだ。
途中、別室にて昼食が出されるが、その内容はコッペパンふたつとイチゴジャムにマーガリンだ。食事の間も、会話は禁止である。
しかも、検事調べが終わったからといって、すぐに帰れるわけではない。その後も、他の者たちの検事調べが終わるまで、硬い椅子に座り狭い部屋の中で待機しなくてはならないのだ。
全員の検事調べが終わり、ようやく帰れるのは午後四時過ぎである。「新宿署、十名」「十名よし!」「世田谷署、三名」「三名よし!」などというやり取りの後、腰縄を付けられた状態で車に乗せられ、警察署へと帰るのだ。
結局のところ、東京地検には毎日数百人の容疑者が訪れる。都内にあるほとんどの警察署から護送されてくるのだ。その数百人全員を、数人単位のグループに分け待合室に放り込む。あとは、ひたすら放置だ。容疑者全員が終わるまで、帰ることは出来ない。時代錯誤なシステムが、未だまかり通っているのだ。
これだけでも、ちょっとした拷問だ……などと評していた者もいる。推定無罪であるはずの容疑者に対し、あまりにひどい仕打ちだ。人質司法、などと言われるのも当然である。
「そんなこと、俺に言われても困るよ。こっちは一介の公務員なんだから、何の権限もないしね。そういう話はさ、ここを出た後どっかの議員さんにでも聞かせてやんなよ。出られたら、の話だけどね」
日村は、古くからの友人のごとき口調で語った。異様に馴れ馴れしい態度である。
実のところ、ここにも彼らなりの計算がある。独房にて孤独を味わい、人との会話に飢えた状態で取り調べに出される。そこで、刑事が親しげに話しかけてくる。すると、こいつは味方ではないか? という錯覚に襲われるのだ。もちろん、それは一瞬である。だが、その一瞬の錯覚は徐々に心を蝕んでいく。何度か話をするうちに、それが一瞬でなくなる。
中には、刑事が友人であるかのように思えてくるケースもある。ストックホルム症候群、と呼ばれるものだ。誘拐や監禁といった事件の際に起きやすい現象である。拘束下にある被害者が、加害者と時間や場所を共有することによって、相手に好意や共感さらには信頼や結束の感情まで抱くようになってしまうのだ。もっとも、この場合は正義を執行する側の警察が、その現象を利用している。
最後には、友人となった刑事の言う通りに自供してしまう──
「ところで、君の持ってたスタンガンだけどさ、どこで買ったの?」
突然、にこやかな表情でつまらないことを聞いてきた日村。どういうことだろうか。明彦は、思わず眉をひそめる。
「スタンガンですか? さあ、どこだったかなあ。覚えてないですね」
一応、記憶はある。とある繁華街の店で買ったのだ。しかし、そんなつまらないことをいちいち言う気になれなかった。
「覚えてない? それは変だな。八百屋で大根買うのとはわけが違うんだよ。こんなインパクトのある買い物、覚えてないわけないでしょう」
この刑事、妙なところに食いついてきた。いったい何が目的なのだろう。そんなことを思いつつ、明彦は首を横に振る。
「いいえ、覚えてませんね。人間は、忘れる生き物ですから」
すると、日村は微笑んだ。有り体に言って、嫌な笑顔である。
次の瞬間、とんでもない言葉が出た。
「そうか、覚えていないのか。本当は、盗んだんじゃないの?」
「はい? 何を言っているんですか?」
唖然となった。この刑事、何を言い出すのだろうか。
「ねえ、この際だから、全部はっきりさせちゃおうよ。正直にいっちゃいな。どっかの店から、パクってきたんでしょ?」
日村は平静な顔で、なおも聞いてくる。その時、明彦はピンときた。まさか、窃盗の容疑をかけるつもりか?
「違います。盗んでいません」
「おいおい本当? 君はさ、気がついたら成田空港で搭乗手続きしていたこともあったんでしょ? だったら、気がついたらスタンガン盗んでた……なんてことがあっても、おかしくないよね。なあに、君の場合は、万引きくらいなら心神喪失で無罪になると思うからさ、正直にいいなよ」
予想通りだ。これから、窃盗の容疑で再逮捕し取り調べるつもりなのだ。スタンガン所持の軽犯罪法違反では、せいぜい罰金刑で終わりだろう。しかし、窃盗の容疑なら話は別だ。心神喪失で無罪などと言ってはいるが、そう都合よくいく保証はない。
「ちょっと待ってくださいよ。窃盗って何ですか。僕が、そんなことするわけないじゃないですか」
とぼけつつ、次の展開に向けて頭を回転させていた。
日村の方は、引く気配はない。
「ここで素直に言った方が得だよ。窃盗は、初犯なら起訴猶予で済むかもしれない。最悪でも執行猶予で済む。ところがだ、否認し続けた場合は心証が最悪だからね。実刑くらう可能性もあるんだよ。こんなんで、刑務所いきたくないだろ」
ねちねちと攻めてくる。明彦は思わず苦笑した。冤罪というのは、こうやって生まれるらしい。もし、閉所恐怖症の人間がこんな場所で取り調べを受けていたら、やっていないこともやったと言ってしまうだろう。
幸い、明彦は閉所恐怖症ではない。幼い頃、もっと恐ろしい目に遭ったこともある。
「いい加減にしてください。買ったって言ってるじゃないですか」
「盗んではいない、と言ったね。間違いなく買ったんだね? その言葉、嘘じゃないね?」
不意に日村の目つきが変わった。異常な食いつきようだ。
「ええ。よく覚えてないですが、どこかの店で買ったのは確かです」
「買ったなら、領収書はもらったよね。その領収書は家にあるのかな?」
「あるんじゃないですか」
「わかった。今から、裁判所に捜索令状を出してもらう。許可が出れば、君の家に家宅捜索に入るよ」
愕然となった。思わず顔が歪む。なぜ、そうなるのだ──
「はい? どういうことです? なぜ家宅捜索するんですか?」
「押収されたスタンガンが、盗品でないことの確認のためだよ。これはね、必要な手続きなんだよ」
ようやく気づいた。先ほどのやり取りは、明彦の口から「スタンガンは店で買った。領収書は家にある」という一言を引き出させるためだった。窃盗の容疑など、最初からどうでもよかったのだ。
野口明彦容疑者は、正当な理由なくスタンガンを所持した軽犯罪法で逮捕され取り調べを受けている。しかし、スタンガンの入手経路に関する供述が、どうにも曖昧だ。盗品の疑いが浮上してきた。実際に買ったものであるかどうか調べなくてはならない……建前は、こんなところだろう。
しかし、彼らの本当の狙いは、明彦の家のガサ入れだ。恐らくは鑑識課からも動員し、髪一本も見逃さないような勢いで調べるつもりだろう。当然、部屋の指紋も全てチェックするはずだ。
結果、行方不明になった者の遺留品など見つけたなら……領収書を捜している途中で「偶然に」発見した、という名目でさらなる取り調べを開始する気なのだ。
そうなると、もはや別件などという言葉でごまかせない。まずは軽犯罪法違反で起訴した後、さらに二十日の拘留を追加する。恐らくは、検察側もその辺りの事情を承知しているのだろう。
警察は、明彦を徹底的に取り調べるつもりなのだ。その本命は、行方不明になった女たちの件である。だいぶ前から、狙いを定め準備していたのだろう。
「あなた方は、そこまでしますか。いやあ、大したもんだ」
無論、その言葉は皮肉である。
「うん、するよ。君みたいな人間を相手にして犯罪を立件するには、こちらもそれなりの手段を使わないとね」
対する日村の口調は穏やかだ。しかし、目には冷ややかな感情がある。殺意にも近いものが浮かんでいた。
それでも、明彦は怯まない。フッと口元だけで笑った。
「まあ、勝手にガサ入れでも何でもしてください。あなたの望むものが、出てくるといいですねえ」
「そうかい。だったら、勝手にやらせてもらうよ。君は、警察をナメすぎだ」
昼食の時間になり、明彦は留置場へと戻された。独房の中に、コッペパンふたつとイチゴジャムにマーガリンが配られる。これもまた、炭水化物を重視した内容である。しかも、東京地検と全く同じものだ。はっきり言って、おいしくはない。だが、食べるしかなかった。
食事の後は、何もすることがない。留置場は、食事と睡眠くらいしかすることがないのだ。一日の最大イベントが食事、そんな生活である。暇潰しの手段を全て取り上げられ、狭い部屋に監禁される……たったこれだけのことが、人間の精神に恐ろしいダメージを与えるのだ。この事実は、体験したことのない者には理解できないだろう。
どのくらいの時間が経ったのだろうか。突然、扉の方からガチャガチャという音がした。
「三番、調べだ」
警官の冷たい声。明彦は、ホッとして立ち上がる。取り調べがあるとなれば、どうにか暇は潰せる。
取り調べ室に現れたのは日村だった。にこやかな表情で、椅子に座る。
「君は、タバコは吸わないんだよね。じゃあ、コーラ飲む?」
言いながら、机の上に缶コーラを置いた。
明彦は、コーラが好きというわけではない。だが、今は刺激に飢えている。ためらうことなく答えた。
「こりゃどうも。遠慮なくいただきます」
缶を開け、一口飲む。途端に、口の中に炭酸の刺激が広がった。ここ三日間、飲み物といえば水と味噌汁しか飲んでいない。コーラのようなものでも、異様に美味く感じる。
その時、日村が口を開いた。
「令状の許可は出たよ。これから、ウチの署の人間が君の家を捜索する。目的は、領収書を探すためだ。押収されたスタンガンが、盗品でないか確かめるためにね。それこそ、髪の毛一本も見逃さないからね」
さっそく、軽いジャブを放ってきた。
「そうですか。ご苦労さまです」
冷ややかな表情で答える。こんな安い挑発に、いちいち乗っていられない。
「ここからは、ただの雑談だよ。取り調べじゃないから、気楽に話そう。君は、都市伝説とかに興味ある?」
「はあ? 都市伝説、ですか?」
思わず聞き返していた。何が目的なのだろうか。この刑事、つまらん世間話などしない。裏に何かあるはずだ。
「そう。あるじゃない、口裂け女とか、四つん這い婆さんとか、芸能人が実はニセモノだとか、事件の裏でフリーメイソンが動いているとかさ。聞いたことない?」
「まあ、ありますよ。でも、全部でたらめですよね」
「そうとも言いきれない。最近、若い子たちの間で面白い都市伝説が流行っているんだよ」
「どんな話です?」
「若くて綺麗な女の子を誘拐して、地下に監禁する。そして、変態を集めてパーティーを行うらしいんだ」
日村の表情は、先ほどと同じだ。しかし、明彦にはわかっている。ようやく本題に入ったのだ。
「何ですか、それは。乱交パーティーでもするんですか? そんなの、よくある話じゃないですか。ネットを漁れば、いくらでも見つかりますよ。政治家や社長の皆さんなんか、バンバンやってるんじゃないですかね」
「いいや、ただの乱交パーティーじゃない。そんなこと、俺はどうでもいいんだよ。合意の上なら、好きなだけヤリまくってくれって感じさ。でもね、俺が言っているのは、ただの乱交パーティーじゃない」
「じゃあ、何なんです?」
「さらってきた女の子を、会員たちが集まって殺すんだ。いわば殺人サークルなんだよ。それも、ただ命を奪うんじゃない。えげつない殺し方をするんだよ」
語っている内容はバカげたものだ。しかし、日村の顔は真剣そのものである。明彦を見る目には、異様な光がある。
「はあ? ちょっと刑事さん、気は確かですか? そんなの、ホラー映画を見すぎたバカの妄想でしょう。そんなのも、ネットを漁ればいくらでも転がってますよ」
対する明彦は、フフンと鼻で笑った。
「うん。大半の都市伝説は妄想だよ。でもね、現実に殺人鬼は存在する。人殺しが快楽になってしまう、そんな連中が現実にいるんだよ」
「怖いですね。僕みたいな一般人には、無縁の話ですよ。やっぱり、幽霊よりモンスターより、人間が一番怖いんですね」
ヘラヘラ笑いながら言ったが、日村はにこりともしない。
「俺もそう思うよ。刑事という仕事をしているとね、とんでもない化け物に遭うことがある。本当に恐ろしい奴がいるんだよ。人を何人も殺しておきながら、涼しい顔をして一般人に溶け込んでいるような奴がね」
「そうですか。いやあ、恐ろしい話ですね」
大げさな表情を作り、怖がる素振りをした明彦。すると、日村の口元が歪んだ。
「俺はね、絶対にそいつらの罪を暴き出すつもりだ。どんな手段を使っても、そいつらを逮捕する」
「ほう。話を聞いていると、そんな事件を手がけているかのように思えてきますよ」
「うん、実は手がけているんだ。この前、とても怪しい奴を逮捕したんだ。名前や、詳しい捜査情報は明かせないけどね」
言った後、凄まじい形相で明彦を睨みつける。低い声で話を続けた。
「そいつは、本当にバカな男さ。自分は絶対に捕まらない、そう思っているらしい。でもね、俺は絶対に逮捕する。逮捕のための証拠も、きっちり集めている。もう時間の問題だよ」
そこで言葉が止まった。黙ったまま、明彦をじっと見つめる。だが明彦は、すました表情で目を逸らす。
ややあって、日村は再び語り出した。
「裁判の時、心証ってのは本当に大事さ。罪を反省し、自分のやったことを素直に認める……それだけで、情状酌量の判断材料になる。ましてや捜査協力なんかすれば、刑の二年や三年は軽く変わってくるんだよ。上手くいけば、死刑が無期懲役になることもある。無期懲役が、有期刑に変わる可能性もある」
「そうなんですか。その人はバカですね。僕なら、さっさと自供し捜査協力します。まあ、僕は何もしていないから関係ないですけどね」
ヘラヘラ笑いながら、明彦は言葉を返した。そう、自分は何もしていない。
見つからなければ、何もしていないのと同じだ。過去に、そう教わった。
そんな明彦を、日村はじっと見つめる。嫌な目だ。裏の世界にも、こんな目をした奴がいる。こういう奴は、ただのチンピラでは終わらない。裏の世界でも出世するタイプだ。
警察も犯罪者も、出世するのは似たタイプなのかもしれない。
「うん、そいつはバカだね。もう時間の問題なんだよ。このままだと、死刑は免れないだろうね。今のうちに、心を入れ替えて素直に自供し協力すれば、命が助かる可能性もあるのにさ」
別れ際、日村はそう言った。
やがて、明彦は独房に戻された。
しばらくして、夕食の時間になる。どこかの業者の弁当が、扉から入れられた。夕食は、ご飯とおかずと味噌汁だ。一応、まともな食事の体を為している。栄養のバランスも取れている。
夕食が終わると、もうイベントはない。独房の中で、ごろんと寝そべることしか出来ないのだ。なんと原始的な生活だろうか。
仰向けになり天井を見つめていると、かつての思い出が蘇る。
まだ、何も知らなかった頃のことが──
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