タイトル(未定)
藍堂 才花
プロローグ
私の友人が昨夜自殺をした。
彼女とは昨日パフェを食べた。
これを食べるために生きているんだよね、なんて言って笑ってたっけ。
彼女とは色々な所へ行った。
絶景スポットなんて言われてる場所は行き尽くした位だ。
こんな景色を見てたら悩みも吹っ飛ぶわ、なんて言ってたな。
彼女は快活な人物であった。別段元気なキャラでこそないが私の手を引きどこまでも連れて行ってくれる、そんな人であった。
しかし彼女は時折この世界のすべてを諦めたかのような悲しげな表情をしていた。富も名声も彼女は小脇に抱えていたはずだ。
一緒に日本中を見て回った。お互いが好きなものを共有して笑った。
でも、それでも彼女は死んでしまったのだ。彼女はもうどこにもいない。
不思議と涙はこぼれなかった。ただ貴女に聞きたい。ただ貴女に謝りたい。
なぜ死んでしまったの?
私が思い出を積み上げてる間に貴女はどんな思いでいたのだろう。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
涙を拭うように貴女が貸してくれたハンカチを目元にあてた。
どんなに強く願ってもこのハンカチをあなたに返すことはできない。
その事実は友人の死を私に鮮明に告げるのであった。
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