第5話 温泉で… R15

「…行かないと」

「今日くらいはいいでしょ?」

「…でも」


二人の少女の声が重なる。

そこは一軒の建物の前だった。

看板にはこの都市の名物の名が刻まれている。


「気持ちいいってわかる?」

「…わからない」


レベッカの問いに答えながら首を振る。


「じゃあ、知ってみよ」


そう言って、少女の手を引く。

そこは温泉施設であった。

 

レベッカはこれを目的に、この地に訪れていたのだ。

支払いを済ますと貸切風呂の脱衣所へと入る。


上着に手をかけると、そのまま脱ぎ去った。

健康的な褐色の肌が露になる。


大きく育った二つの膨らみは存在感を主張していた。

それを見た勇者は興味深そうに眺めている。

 

「なに?気になる?」


悪戯っぽく笑いながら、自分の胸を持ち上げると、勇者の目の前で揺らしてみせる。


「…大きい」

 

表情を変えずに淡々と答えた。

上下に揺れるピンクの突起物をジッと見つめている。

 

「ふふん、触ってみる?」

 

その言葉に頷いた少女の指が伸びると、先端に触れた。

その瞬間、レベッカの体がビクッと震える。

 

「ちょっとッ、冗談だってッ」

 

慌てて彼女の手を払うと顔を真っ赤に染めた。

どうやら冗談が通じないらしい。


「もう!あんたも脱ぐんだよ!」

 

照れ隠しなのか語気を強めて言うと、少女の服を脱がせていく。

その肌は生まれたばかりのように、モチモチと柔らかかった。

 

くびれのないスレンダーな肉付き。

控えめな乳房の先端に桃色のつぼみがちょこんと乗っていた。


「…何かしらそれ?」


右胸の上あたりに、黒いタトゥーのような紋様がある。

それはまるで刺青のようだった。

 

「…13?」

「…?」

 

そこに刻まれていたのは数字だ。

だが、少女は首を傾けている。

 

深い意味も見当たらず、さらに視線を下に降ろせば、毛ひとつ生えていない縦筋が見えた。


「…違う」


少女は無毛とは縁遠いレベッカの恥丘を指差す。


「…うるさい」


レベッカは恥ずかしさのあまり、顔を背けてしまう。


「…違う」


それを気にする事なく、自分の小さな膨らみを触る。

変わる事のない表情のまま桃色の突起物を触り続けた。


「…これが…気持ちいい?」

「…知らないわよ」


明らかな勘違いをしている少女を見て、苦笑いを浮かべると、その手を引く。


「…赤い」


少女の言葉が示すとおり、浴槽の湯は茶褐色に濁っていた。

湯気が立ち上り、独特の香りが充満している。

二人はゆっくりと湯に浸かっていく。

最初は警戒していた少女も、次第に肩の力を抜いていった。


「…変な味」


唇にかかった湯を舐めながら呟く。


「…しょっぱいっていうの」

「…しょっぱい」


その記憶を刻むように、少女は繰り返し呟いた。

そして、ゆっくりと瞳を閉じると穏やかな表情を浮かべた。


「…気持ちいいでしょ?」

「…うん」


彼女がまた新しい感情を知った一日だった。

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