第14話 直接対決… その2
同居人は慌てて
「いや…それは…そうですが、
こちらの家族の話なので…」
僕は畳み込むように話した。
「自分自身で全て稼いで、契約等もちゃんとして
夏美を守っていたならば君の言っている事も理解できる。
でも実際は、お金は君のご両親からの援助だし、住まいだって契約違反だし、
どこが養えているって言うの?守れているって言うの?
夏美は当初言っていたよ?
身の回りの世話をして、君の就職活動を支えているって
でも君は就職浪人している挙句、気分転換に海外旅行?
そりゃ夏美にも愛想つかれちゃうんじゃない?」
「ぐっ…」
同居人は顔が真っ赤になった。
「貴方は冷たい人間です。
私の事を夏美に同居人と呼ばさせたり、
こんな強引な別れを夏美に強要させるなんて、人としてどうなんですか?」
同居人がそう言うや否や夏美が
「あんただって、あんたの前の彼氏を別れさせる時に
あんなに泣きじゃくった彼を強引に電話1本で別れさせたじゃない!」
そう反論した。
「へぇ…人にはやっておいて、いざ自分が似たような事やられると
人を非難するんだ…」
僕は冷たい視線を同居人に向けた。
彼は俯き、正論では勝てないと思ったのか、夏美の話を言ってきた。
「今ちょっと話した感じ貴方は確かに真面目で立派な人だ。
でもだからこそ貴方は本当の夏美を知ったら付き合えないと思いますよ!」
「ちょっと、何を言う気?」
夏美はムキになって何か言い返そうとしていたので、僕は
「夏美、僕も聞きたい。少し黙っていてくれないか。」
と夏美を窘めた。
「夏美は元々渋谷のあるキャバクラ店のNo.1嬢だったんです。
だからキャバクラに勤めていた時はしょっちゅうお客さんから電話来てたんです。
店外デートも黙って見送らないといけなかったんです。
そういうの真面目な貴方は耐えられますか?
私は耐えて来た!!!
今後夏美がソープ嬢になりたいって言っても私は耐える自信がある!!!
それ位彼女を愛しているんです!!!
貴方にそんな事出来ますか?」
同居人は興奮して熱演した。
僕は、冷めた目で意見を返した。
「夏美…過去の事を何も思わないわけではないけど、終わった話だ。
ただ今後キャバクラ店に勤めるのは認められないよ?」
「はい…」
夏美は俯いて返事をした。
「それからソープ嬢?
君馬鹿なの?それを耐えるのが愛?
愛しているんならむしろそんなの止めないとダメでしょ?
そんなの夏美の親だって悲しむだけだよ?」
僕は同居人に呆れて答えた。
更に同居人はムキになり言い始めた。
「夏美は言ってましたよ。
貴方との初めてキスした時に気持ち悪かったと。
身長も低いし、もしも一流会社でなかったら相手にしなかったって!」
「ほう…」
僕が夏美を見ると、
「私は慣れてないとダメなタイプなの!
あんただって最初は気持ち悪かったわ!」
夏美が顔を赤らめて同居人を睨んで言った。
「それに貴方の容姿は大したことない。
それなのに夏美に気に入られているのは、
昔夏美が凄いイケメンと付き合ったことがあって
それで捨てられたことがあるからです!
だから容姿が良くない人と付き合えば、
自分が捨てられる事がないという安心感と
容姿の優れている自分が優れていない貴方を愛してやっているという
優越感からです。
それと貴方の会社のブランド力に魅力を感じているんです。
要は貴方を見ているんじゃない!会社を見ているんです!
貴方は馬鹿にされているんです!!!」
「ちょっと!勝手な事を言わないで!!!」
夏美はいよいよ怒っていた。
僕も勿論何も感じてないわけではないが、
このまま同居人を喋らせておけば自滅するかなと黙っていた。
更に泣きそうな顔で同居人は夏美の性癖を言い始めた。
「夏美は、AVみたいな事をするのが好きなんですよ!
私のモノを…その…咥えて、生で欲望を飲み…」
「ちょっといい加減にしてよ!!!
あんた最低!!!
何考えてるの!!!
ちょっと外出てよ!!!」
夏美は顔を真っ赤にして怒って、同居人を腕を引っ張って
僕の事はお構いなしに二人は店を出て行った。
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