第31話 美人教師とシャワーを浴びる
水流の音で目覚めると、そこは白い大理石でできた部屋だった。壁は緑。蔦? それにしては、ところどころ赤や青、黄色い花が咲いていた。
水流は部屋の奥から聞こえていた。
そちらに向かうと、小さな庭に出た。
庭の壁面にはアルコーブがあり、白い小さなドラゴン像の口から水流がでていた。
「それは聖水だそうよ」
僕は背後の声にビクッとなった。
「驚かせてしまったかしら」
ふふ、と笑う声に聞き覚えがあった。
養護教諭の深田奈津子先生だ。
ふりかえって、僕はまたビクッとなった。
深田奈津子先生が白いトーガをまとっていたからだ。
「この格好、おかしい?」
「いえ、女神さまみたいです」
ふふ、と深田奈津子先生が笑った。
ちょっと艶めいていて、僕のドラゴンがズキッとなった。
いかんいかん。
このヘンテコな事態について教えてもらったのは、このときだった。
「小森翔太くん……翔太くんって呼んでいいかしら?」
え? なんで? なんで名前? いやなんか嬉しいけども!
「呼んでください!! ぜひ!!」
よくわからないけど、なんか親近感持たれてる?
ふふ、とまたまた艶っぽい含み笑い。ドラゴンが、ドラゴンが覚醒しちゃうよ~!
「その汚れたジャージ、脱いじゃいなさい」
脱ぐ? ここで?!
「ばかね。浴室で着替えなさいって言ってるの」
浴室。そうここ、元保健室、現癒しの小神殿には、浴室が完備されているのだ。
「着替えも用意してあるのよ。翔太くんが気に入ればいいのだけど」
脱衣室には、確かに着替えとおぼしきものが置かれていた。
下着は普通だったが、それ以外が問題だった。
あの、僕、コスプレの趣味ないのだけど……
そこにあったのは、薄茶色の麻布の上下で、なんというのか、ゲームにでてくる冒険者Aみたいな衣装だった。
鎧まである。濃い茶色の
これは冗談? からかわれてる?
浴室は、濃紺のタイルのなかに、脚付きの大きな白いバスタブと、シャワーがあった。
シャワーを浴びていると、背中を流してあげる、と深田奈津子先生が入ってきた!
身に着けているのは、ミニのワンピースっぽい下着? 下着ですか?! 薄いよ薄すぎるよ!
ちょっと、これなに、夢、夢なの?
寝不足からくる非現実感はなかった。現実だった。間違いなく現実だった!
だって、女性の身体の見たこともないアレとかコレとか透けて見えるんだもん!
「迷惑だったかしら?」
「いえ! よろしくお願いします! よろしくお願いします!」
僕の裏返った声が浴室に反響した。
………………。
浴室から出ても、僕は夢心地だった。
冒険者Aの服を着るのに気恥ずかしさを感じなかった。
羞恥心は、奈津子先生に奪われてしまった。
僕、心に決めたひとがいるのに……最低だ。
でも気持ちよかった~。
ハッ、いかんいかん。
奈津子先生は、夜に会いに来てくれたら、もっといいことしてあげる、と耳元で囁いてくれた……
どーする僕? どーしたらいいの僕?
すっかり満足したドラゴンは何も告げなかった。
いや、されても困るけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます