第40話 運動会 vsアカネとタイマン開始
「私には全く何も見えずにエル様一瞬でアカネさんを切ったように思えるのですが…」
そう呟くのは進行役のユーリ。
よくわからなすぎて勝利の宣言を忘れている。
「ふん、あやつは刀にすら触っておらんぞ」
マオは解説をする。
「え?どういうことですか?」
「まず、あやつはアカネに魔力を密集させたんじゃ、それも大量に。それでアカネは動けん。」
マオは続ける。
「その後密集させたままの魔力の一部、アカネの怪我した場所じゃな。そこに無を作った」
「無ですか?…」
怪訝な顔をするユーリ。
「そうじゃ。何もない無の状態を作る。そうするとそこに何か入ろうとするんじゃ。儂の黒い玉もそうじゃ。無を作ると空間すらそこに入ろうとする。それでアカネは切り傷のような怪我をおった。意識が飛んだのは昏睡の魔法じゃな…」
「せめて、アカネの一撃ぐらい受けてやれ!この臆病もんが!!」
キレるマオ。
「あぁ、あとほれ。勝敗」
「ああ、失礼しました。エル様の勝利!!」
マオの解説のせいでまたブーイングが起こる。
アカネの一撃はやばい予感がしたんだもん!怖かったんだから!!
とりあえず、私が怪我をさせたアカネに〈ヒール〉をかける。
昏睡の魔法も解けたアカネは目を覚ます。
「私はなにもせず負けてしまいました…」
シュンと落ち込むアカネ…。
とても心苦しい…。
私のオサレな技で倒してしまったことをすこし後悔する。
もっとも解説のせいでオサレではなくなったが……
私だって高速で動いたり剣バシバシやりたいんだよ!ほんとは!
できないから魔法でそうみせてるのに……ひどいやい…
「私はまだまだ努力が足りないのでしょう…」
自分に言い聞かせるように呟くアカネ
「でも、アカネは私より努力してるよ!私別にそんな努力してないし」
ショックを受けるアカネ…
あぁ、言葉を間違えたかもしれない。
「私は刀の才能ないからアカネが羨ましいけどね」
「でも、私はなにもせず切られてしまいました…剣筋すら見えません…」
「そりゃそうだよ切ってないもん」
「え?」
「切ったように見せただけだよー!魔法だよ!魔法!」
「そ…そうなのですか?」
「かっこいいでしょ!」
ふふんと胸を張る私。
「ふふ…なんだか悩んでるのが馬鹿馬鹿しくなりました!」
口を抑えて笑うアカネ。
「私は私で頑張っていつかエル様に刃を届かせます!!」
い…いや…攻撃しないでよ…。
「う…うん。たのしみにしてる…」
それからメインイベントであるタイマンが始まる。
ニーナvsナキリ
「まずはニーナの入場」
ペコリと会釈をした黒い修道服に包まれたニーナがステージに立つ。
風が吹くと見えるドクロがかっこいい。
「次にナキリの入場」
袴姿で堂々と登場するナキリ。風になびく羽織がマジでおしゃんてぃー。キセルも持たせようかな…。
「今日は私が勝つ」
羽織を脱ぎ投げようとするが直前で止まる。
キョロキョロしたあとアカネを手で呼んで羽織を渡した。
いいよ…大切なのはわかったけど…別に投げていいよ…。
「エル様から頂いたものを大事にする姿勢はとてもいいですが私の勝ちは揺るぎません」
スッと二の腕に触れたかと思うと指の間にはナイフがあった。
ぐう…私もそういうのやりたいのに…今度練習するしかないのか……
「初め!」
試合が始まった。
ナキリが目を閉じ居合の姿勢を取る。
そこにナイフを投げるニーナ
目を開けずに避けいく
突っ込んでいくニーナ。
そこに合わせて抜き打ちをするナキリ
直前で刀を止めるナイフ
バッっと下がりながらニーナは地面に円を描き黒い影から巨大な鎌を出した。
アハハと笑いながら鎌を振り回し突っ込んでいくニーナ
お前…それ呪われた武器とかじゃねーよなぁ…
不安になる私であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます