第38話 運動会 マオとウィル
急遽始まったマオとウィルの対戦。
マオは機会があれば戦う予定だったらしくノリノリである。
一方ウィルはあんまり乗り気ではなさそうである。
「マオが怖いっていうよりどっちかっていうとエルの方が怖い」
怯えた視線を私に向ける。
可愛い私になんて目を向けるんだ!!!
「まぁ死んでも《持ち物》に戻るだけじゃん。がんば」
「おm…ろくな死に方しねーぞ」
はぁとため息を着いてステージに上っていくウィル。
「初め!」
「お前には仮があるからのう。だけどもじゃ、儂は強い。これで終わらせてやるわい」
自信満々のマオの指の先にビー玉ぐらいの黒い玉がでる。
お前…大丈夫か…?ぽわあんで終わったりしないよな…?
マオと会ったときを思いだす私。
「ちょっ……それは不味いだろ!!」
焦っているように見えるウィル。
私にはわからないので困惑していると横にトウカが来る。
「あら?トウカいらっしゃい」
挨拶をする。
「童よ、なにか防護壁やらをはらんとここ一体消えるぞ」
え?まじ?
「あのマオとやらの黒い玉危険じゃ」
トウカの足元でキューキュー鳴いて固まっているキツネ達。
埋もれたい。
今度まぜてもらおう。
そんなに言うならバリアでも張っておくか。
「お、準備が整ったみたいじゃぞ」
マオがバリアを張ったことに気づいた。
「ではいくぞー」
緩い返事でマオは指先の黒い玉にフッと息をかけた。
すると歩いている速度ぐらいで進んでいく黒い玉。
「くそ!」
〈セイクリッドブレード〉
ウィルが光の刃を玉に向けて撃ったが黒い玉に吸い込まれ消える。
「カカカもっと頑張れい」
楽しそうなマオ。楽しそうでなによりである。
なんども光の刃を出すがすべて吸い込まれていく。
「あぁ…無理っぽいな…」
ボソッと呟くウィル。
「なんじゃ、もう降参かーつまらんのう」
シュンとつまらなそうになったマオは黒い玉に向かって手を握る。
すべての音が消えた。
すると黒い玉がはじけ空間が歪んでいく。
バリア内の景色がすべて黒い玉に向かっていく。
全身に光を放っているウィルも少しづつ黒い玉に吸われていく。
バリア内のすべての空間を吸収した黒い玉は消えた。
そして、ステージの形が歪になっており全体の大きさの3分の2程度になっていた。
ファサッと髪をかき分けるマオ
「あー思ったよりつまらんかったわい」
ウィルは《持ち物》に入っていた。
「しょ…勝者 マオ!」
「おまえええ!わけわからん威力の魔法使うなら言ってよ!!」
マオに詰め寄る。
「お主ならかけてくれるかなぁって。あ、でもお主魔力見るの下手じゃったな。すまんすまん」
ガハハと笑うマオ。
なんか怒る気が失せた。
とりあえず、《持ち物》からウィルを出す。
「二度と俺にそれ打つなよ」
ジッとマオを睨んだウィルは帰っていった。
カカカと笑うごきげんなマオだった。
そんなこんなで昼食である。
ご機嫌なマオとトウカとキツネ達で屋台をまわる。
するとお好み焼きを焼いているクーコを見つける。
「クーコだ。お好み焼き焼いてるの?」
「そうです。おひとついかがですかー?」
「んじゃ3つもらおうかな。キツネ達はいらないんだよね?」
「いや、もらうとするかの。この子ら、最近わらわが食べるものに執着しておっての」
やれやれ、生意気になったものじゃと困ったように言っているが少し微笑んでいた。
「そっか。じゃあ、とりあえず5コ頂戴」
焼いている間に雑談をする。
「クーコもそろそろそんなに仕事しなくていいよ。なんだかんだうちに長いこといるし」
「えぇ、奴隷は仕事をしてこそですよー」
!?
そうだった。奴隷のままだった。
ユーリもクーコもこんなに頑張ってくれてたのに。
運動会してる場合じゃないかもしれない。
「ぐぬぬぬ」
「また尻尾触りたいんですか?」
ふふふと笑うクーコ。
いや、違うんだ!いや違くないな
「触りたい!」
「ふふ、だーめ」
と唇に人差し指を当てるクーコ。
あーかわいい。
「童もすぐ色めき立つのう」
横にいるトウカに尻尾でお尻あたりを叩かれる。
ふわふわの尻尾だ!!
「どっちを選ぶんですか?私ですよね?」
クーコが上目遣いでこちらを見る。
「もちr…」
「もちろんわらわじゃよな?童よ」
ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ
「ふたりt…」
「「どっち!」じゃ!」
ふ…ふええええん!!無理だよ!選べないよ!
ふふふと笑うクーコとトウカ。
「顔が面白いのう」
「えぇ。とても」
楽しそうに仲良く笑う2人。
キツネ同盟やめてくれないかなぁ…
「そんなことどうでも良いから。はよ、お好み焼きよこせ」
いつも通りのマオだった。
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