第34話 会場設営


「おーいマオチーン」

マオを呼ぶ。


「なんじゃお主しばくぞ」

わー、こわーい。


「そんな怒んなくたっていいじゃん。ジョークジョーク」


「余計腹たったわ。しね」

魔法を撃ってくるマオ。

はい、バリアー。


「あー腹立つ。で?なんじゃ」


「運動会の会場作るの手伝ってよ」


「お主だけでいいじゃろ」


「一人だと寂しい」


「えー…儂も忙しいしのう……わかったわかった。わかったからその目やめろ殺すぞ」

私の渾身の上目遣いは刺さらなかったようだ。ん?刺さったかも、マオの逆鱗に。


「マオやさしー!ありがとー」

ガバッ


「おい、お主くっつくな!さわんな!!ちゅっちゅすんな!!」

マオの照れ屋さーん。


お怒りのパンチをもらった後、自分に〈ヒール〉をして街の外れに行く。


「お主のわけわからんテンションのときが一番うざくて困るわい。なんとかせえそれ」

ジロっと睨むマオ。

たまーに発散したくなるこのテンションなんなんだろ。

自分でもよくわからないからなんとかしようもないが。


「じゃあ、マオ。魔法ぶっ放してー」


「あいよー」


ばこーん。


平らな地面ができる。


「流石…マオ」

フッとカッコつける私。


「ふん…それでほどでも…あるわい」

髪をファサーしてカッコつけるマオ


「なにしてるのかしらー?」

女神がスラちゃんを連れてやってくる。


「えるーえるえるー」

パーと両手を広げてやってくるスラちゃん。

今日は女神を真似してるようだ。


「あーかわいいねースラちゃんは!」

ヨシヨシしてあげるとグリグリしてくれる。

ホント癒やし。

スラちゃんは気分かどうかはわからんが多分気に入っている相手の姿の真似をするようになった。

身近な人だとマオだけ真似してもらってないため、ちょいちょいスラちゃんが孤立しているときに魔力をあげているのを知っているぞ。マオよ。


チラッとマオを見る。


「なんじゃ?」


「いや、なんでも?」


「なんかあるじゃろ」


「いや、なんでも?」


「いや、絶対なんかあるじゃろ」

しょうがないな。


「スラちゃん真似して」


ぽふん。


スラちゃんが私の形になる。


フッっと勝ち誇る私。


「なんじゃい!儂だって!!スラ坊、儂の真似をするのじゃ!!!」


首を傾げるスラちゃん。

呼び方が悪いんじゃねーの?それ…。


スラちゃんの頭を撫でる私。グリグリするスラちゃん。


マオもそのうち真似してくれるよ。

「敗北を知りたい」


「クソがッ!!!!」

地団駄を踏むマオ。


あぁ心の声と声が逆になってしまった。


「すまぬすまぬ」


「謝る気ないじゃろお主」

ジロリと見てくるマオ。


もちろんない。




マオをいじったところで会場の作成に入る。


コロシアムみたいな感じでいいよな多分。

足りなかったら足すだけや。



むんむんむーん!!


はい、完成。


目の前にコロシアムができる。


「相変わらずどえらい魔力じゃの…」


「スラちゃんできてるわよー!一緒にみましょーねー」

スラちゃんと手を繋いでコロシアムに入っていく女神。


「じゃあ、私達も」

手を繋ごうとする。


「繋ぐか!!ゔぉけ!!」

つめたいマオちゃん…。


「そんな怒んなくたっていいじゃん。ジョークジョーク」


「おm…お主しばくぞ」


「ご無礼」


無言で魔法を撃ってくるマオ。

無言でバリアを張る私。


「敗北を知りたい」


「教えてやるわい」

ものすごいスピードでぶん殴ってくるマオ。

あ、それ私の弱点だからー!と思ったときには目の前にいるマオ。腹部に痛みが走る。


敗北を知った。


〈ヒール〉をしてコロシアム入る。



女神とスラちゃんが遊んでいる間、私はイスやら机やらを作る。マオが魔法で運ぶ。


あとは…パン食い競走は魔法でパン浮かべればええか。誰かできるやろ。


武器トーナメント用の刃のついてない武器を作る。


「お主も最初と比べると随分よくなったのう」

最初に作った日本刀モドキと比べているのだろう。


「まーねー工房もちょくちょく行ってるしねー」

ドヴの剣やら槍を見てるからな。

あとナツメが私に作った武器やら鎧を見せてくれる。その時の笑顔が可愛いのだ。


ぱぱぱと武器と防具を作った。


「あとなんかいる?」


「屋台じゃろ」


「お祭りっぽくしよっか!」


街へと道路を作り通り沿いに屋台を乱立していく。


女神が呟く。


「神社でもありそうねー」

なんで神社知ってるんだ?まぁ女神だし私の世界しってるから知ってるか。


「じゃあ、ジルのお家として神社作ってあげよっか?」


「いいのかしらー!服も作って頂戴ね!」

小躍りをする女神。ムカつくが見慣れた。


稲荷神社モドキを作る。赤い鳥居がかっこいい。

二体の狐像もしっかりと作る。うーん。素晴らしいできだ。今にも動き出しそう。


「そういえばなのだけど、私のガチャで出したキツネさんと侍さんと忍者さんはいつ見れるのかしら?」

すっかり忘れていた。


「へ…へんな人たちじゃない?」


「し…失礼ね!!私だってしっかり選んでいるわよ!!」

ぷりぷりと怒る女神。



なーんか信じられないんだよなぁ…

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