第17話 奴隷達の役目


ルージュと別れて家に帰る途中鬼人のナキリが声を出した。


「ご主人様よろしいでしょうか」


「うん、いいよー」


「ご主人様のお屋敷は街に無いのですか…?」


「うん、そうだよ。捨てられた森の中だよ」


血の気が引く奴隷達

それもそうか、一般の人からしたら脅威だもんなあそこらの魔物。


「あ、私強いから平気だよ」


「そ…そうですか…」

信じて無さそうで草



「そうだ、鬼人の小さい子名前なんて言うの?」



「お前…違う…ご…ご主人様も小さいだろ!」

最初直したのは偉い。だが後半直ってないぞ。

まぁ、身長大して変わらんし…気持ちはわかる。



「コラッ!ナツメ!口の聞き方に気をつけろ!」

ナキリが鬼の形相で叱る。

こえーなぁ…


「まぁまぁ…そんなに萎縮されても困るし私は気にしないからいいよ」


「いいえ、ダメです。ご主人様の奴隷となったのです。私達はご主人様に生かしてもらうのです。仮にご主人様が許しても私が許しません。」


うーん、真面目ちゃんかー……


「まぁ…えっとー…頑張って」

当たり障りのないことしか言えなかったが、ナキリは喜びながら元気よくハイ!と返事をしていた。



「まぁ、それはいいとして」



「ナツメちゃんこっちきて」

両手の肘から先がない腕を見る

多分いけそう。いや、私ならいけるね!


「少し痛いから我慢してね」

返事を聞かず魔力を込め肘を切る。



「なっ…なにを…」

呆然とする奴隷達。


「痛い!痛い…」

ナツメは涙目を浮かべ必死に堪えている。



〈ヒール〉


ナツメの腕が光に包まれ肘から先が生えた。



「よく我慢したね。偉いね」

とポンポンと頭を叩いているが手が生えたことに驚きを隠せずスルーされた。



「これでよし!内緒ねこれ!」

奴隷達にシーと口に指を当てる。


可愛いだろ私!



「こ…これは…なんという…」

言葉が出ない奴隷達

可愛い私を無視するな。



驚いた表情で自分の手を見つめるナツメはグーパーグーパーと手を動かした後、泣きながら私にお礼を言ったのだった。


家に着いた私はみんなに奴隷達を紹介した。


まずは鬼人族の二人で大っきい方がナキリで小さい方がナツメです。


ふたりともお辞儀をする。


ダークエルフの人がユーリットです。


「ユーリと呼んでください」


会釈をする。


最後が狐族のクーコだ。


「よろしゅう」


お嬢様みたいなお辞儀をする。

うーん、素晴らしい。


「今日から家事手伝いをしてもらいます。おねがいしまーす。」


ペコリとお辞儀をするとみんなから拍手が上がった。


「え?4人もいらなくね?」

マオから質問がでる。


「えっと、近いうちに40人ぐらいこの家にきまーす!」


「普通に入らんじゃろ」


「家を立てまーす!そしてー今までなかった娯楽施設も作りまーす!!」


「まじか?」

キラキラの目をするマオ。

マオの後ろに回り込み肩を叩く。


「マ・ジ」

ウインクもつけちゃう。


マオにぶん殴られた。調子に乗ったかもしれない。


「じゃあ、さっそく今日はご飯を作ってもらおうかな!」


「「「わかりました」」」「わかった」


「わかったではない!!」

ゴン!


見てないけどわかる。


結果から言うとちょっと修行が必要かもしれない。


この世界のお店レベルの料理が作れる感じだったので正直私が作ったほうが美味かった。

まぁ、調味料を一通り味見したりしてもらったあとでレシピを渡せば私を直ぐ超えるとは思う。


「こ…こんなはずでは…」

ガックリと項垂れるナキリ。


「掃除はできます!」


「掃除はクリーンの魔法使ってるからいらない…かも…?」

ちょっと気まずいけど言っておく…。



「で…では!洗濯を!!」


「じゃあ、よろしく」

そう伝えて部屋に戻って5分後ナキリが部屋に来た。



「ご主人様、川か井戸はどこに?」



「え?」


「はい?」


「え?川とか井戸で洗濯してるの?」


「大きな水魔法が使える魔法使いがいる貴族ぐらいだと思います。家で井戸や川以外で洗濯をしているところは…」


「じゃあ、洗濯物貸して-」


「いや、それは私達の仕事…」

洗濯物を奪い去ると魔法で大きな水の球体を作り、魔法で洗濯物を入れていく。

中を回転させながら創造魔法で洗剤を作り入れる。

ある程度したら水と洗濯物を分けてもう一度新しい水球を作る。

繰り返した後、魔法で圧縮して水を切って終わり。


「これ干しておいて」

フッっと笑って手を上げて去る。決まったな。



「「「私達要らないのでは?」」」


呆然のご主人の背中を見つめる3人だった。


ナツメは腕が再生したばかりで動かしにくいので特になにもしておらず空を眺めているのだった。

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