第7話 獣人との出会い
街へと行く準備中である。
いつも使わなかった腰にぶら下げた剣から日本刀に変える。
うーん、なんてかっこいいのだろう。
使わないのでファッション侍である。
ちなみに少し振ってみたところマオに爆笑されたのでもう振らないと決めた。
「マオいくぞー」
「使わない武器ぶら下げてどうするんじゃ?まさかとは思うが使うわけでは…ブフゥ…ククク」
笑い転げるマオ、覚えてろよ。
サクッと冒険者ギルドへと着く。
「おっさん鑑定おわったー?」
人気のないおっさんを見つけ声をかける。
「おっさんって…まぁいいか…終わってるぞ」
「これが魔石の分の金貨だ」
どんとお金の袋が置かれる。
「鑑定の結果247枚分の金貨だ」
おーたくさんだ。
「魔石だけでこんな高額には普通はならないんだが大きさと質が良くてな」
「それと、一つずば抜けていい魔石があってな買い取れないんだ」
「お金が足りない?」
「おーよくわかったな。田舎の冒険者ギルドではこの質と大きさの魔石を買い取ると破産しちまう。お前さんが持ってきた大量の魔石でギルドの貯金がなくなったよ」
ハハっと笑うおっさん。なんか可愛いな。
「まぁ、そう言うことでこれは返す」
ゴトっと魔石を置いたおっさん。
魔石をマジックボックスにいれて帰ろうとした時
「あと、ルージュってわかるか?赤髪のうるさい奴だ」
「会ったことあるよ」
「あいつがお前をBランクに上げたいらしくてな、明日は用事あるか?」
「まぁ、大丈夫だよ」
「じゃあ、お昼頃頼むな」
とポリポリと頭を掻いたおっさんはギルドカウンターへと戻った。
「あれでね、照れてるのよ」
急に後ろから湧いた。あらあらお姉さん。
「あの人顔怖いでしょ?あんまりカウンターに人が来ないのよ」
だからね。私の仲間なの!と嬉しそうに語るお姉さん。
流石にあなたの一緒ではないだろと思いながら冒険者ギルドを後にした。
「おい、お主ワシはかれーが食べたいぞ」
「朝食ったばっかじゃん」
「いつ食っても美味しいもんは美味しいんじゃ!」
確かに…それはそう…
「じゃあ、カレーにするか」
米は売ってないんかな…創造魔法でいけるか?…と考えていると何やら騒々しい音が。
「返すって言ってんだろ!!」
小汚い格好の獣人?多分猫が謝っている。
「そうは言ってもな…金もないのに汚い手で触ったパンを返してもらってもなぁ」
少し困った顔で頭を掻いている店主。
「可哀想だったからたまには見逃してたけど、ここんところほぼ毎日だろう…うちも潰れちまうよ」
ため息を吐く店主。
あれか…万引き?盗難?だろうか。
野次馬根性で見てみる。
猫の獣人が俯いて黙っている。
「おい、悪人のパン屋!許してやれ!心がせまいぞ!」
マオが楽しそうにからかう。
やめとけ。
「許さないと俺がが悪人みたいになってるけどよぉ…」
ちょっと悲しい顔をしているパン屋。
パンおじさんの顔が悪人面なのが良くないと思う。
しょんぼりしている獣人を見るのも、悪人面のパン屋も忍びないので声をかける。
獣人が可愛そう、お店が可愛そうとかではなく見ているのは辛い自分の心のためである。
「じゃあ、おじさんのここからここまで買うよ。いくら?」
左端から右端全部である。言ってみたかったんだこれ!
「うちとしては助かるけどよぉ…銀貨30枚だが払えるのか?」
金貨までいかないんだ…そもそも銀貨が何枚で金貨なのかわからん。
「じゃあ、はい」
金貨を1枚渡す。
「おいおい、金貨なんて出すもんじゃねぇ!さっさと仕舞え!お嬢ちゃんうちじゃ金貨なんて無理だよ!」
慌てて返してくる店主。
今日ルージュに朝もらった袋に銀貨入ってるかも。
探してみる。入ってたが足りない。
「じゃあ、お釣りいらないよ。あんまりお金に興味ないんだ。獣人の子?を助けてたお礼だと思ってくれ」
適当に理由をつけて金貨を渡す。
「そ…そうかい?じゃあ、ありがたく受け取っておくよ。ありがとな貴族の嬢ちゃん」
二カッと笑う店主。顔がこえーよ。
パンをマジックボックスにしまっていると獣人の子が声をかけてきた。
「あんがと…お礼はできないぞ…」
とぶっきらぼうに言われた
だが、涙目でこちらを見てくる。
手足は痩せ細り頬もコケている…そして何より臭い。
「臭いぞお前あんまり寄るな」
シッシと手でやりながらマオがストレートに言う。
お前……
ガーンとショックを受け泣く獣人。
痩せすぎなのと髪の毛は切る手段がなさそうだから男か女かわからんが…臭いと言われたらショックだよな…
はーしょうがない。
うちに連れてくしかないだろう。
「お礼はいいから綺麗にするぞ。うちへこい」
獣人の手を引く。
「わ…わかった。でも、俺にはなにしてもいい。でもお願いがあるんだ。聞いて欲しい」
面倒なことになりそうだと思いながらも頷くしかなかった。
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