第4話 変な客人


初めての街にがっかりした翌朝コテージにある台所でお肉を焼いていると初めての音が聞こえた。


コンコン 誰かおるんやろー おい いるのはわかってんでー! コンコン


扉を叩く音と女性の声が聞こえる

こんな朝早くからの来客などロクな奴ではないので居留守を決め込む


おい 居留守やろ 肉焼いてる匂いしてるからわかるで フォレストウルフやろ多分 あけろー


クソが…肉焼く前なら居留守できたのに…

観念し扉を少しだけ開けると直ぐ様ガッっと足を差し込まれる。

クソみたいなセールスかよ…。



「あら、お嬢ちゃんお母さんかお父さんおる?」

180cmぐらいあるだろうか…目立つ赤髪のショートカットで執事の服装を着崩して豪華にしたような格好をしている。声を聞かなければ男性だと思う。


「いません。じゃあ、失礼しま…」


「ちょいちょい、ならちゃんちゃらおかしいやんけ!子供だけでこの家に住んでてフォレストウルフの肉焼いてくうてるんか?」


「そうです、失礼s…」


「まてーいまてーい!しかも、お嬢ちゃん強いやろ?」

さっきまで笑顔だったのに鋭い目で口元だけニヤけながら問いかけてくる。


「そうです、失礼します」


パタン。


「あかん、カッコつけて足引っ込めてもうた!」

なんだあいつ……ほっとこ…


「お嬢ちゃーん、爆炎のルージュって聞いたこと無いかー?」

知らん。


「知らんのかーい!じゃあ、ルージュ商会はわかるやろ?ルージュ商会のルージュや!」

知らん。


「それも知らんのかーい!じゃあ、怪しい人じゃないで!これはホンマや!」

嘘だろ。


「どうしたらええねーん!」

知らん。


「知らんのかーい!!ウチもわからんやーん!」

知らん。


「やかましいのが来てるのぉ…」

ポテポテとこちらに歩きながらまだ開ききってない目をこするマオが答える。


「儂に任せとけ…」


ガチャと扉を開ける。


「おぉ!お嬢ちゃんわかってくれt…」


〈デス・インフェルノ〉

黒い炎の塊がクソセールスへと飛んでく。


「ちょい…これはまずいんとちゃう…??」

クソセールスがボソッと呟き、サッっと避けたものの上着を炎がカスリ火がついた。


「その炎普通に消えんからな。じゃあの」

真顔でお別れの挨拶をするマオ。



「え?…それほんまなん?」

青白い顔のクソセールス。


パタンと扉を閉めた。



「こうして、我らに平和が訪れたのである」


「マオはミディアムレアでいいんだよね」


「そうじゃそうじゃ!昨日の晩飯よりうまいからの!はよよこせ!」

なんだかんだマオは作ったものは美味しそうに食べてくれるから好き。


「「いただきまーす」」

二人で食べ始める。


バターンと勢いよく扉が開く。


「ちょい待てーい!!お…お前らの炎で森がすごいことなってんで!!」

クッ…鍵閉め忘れた…。しかも、私は関係ないので巻き込まないで欲しい。


髪もボサボサで土や草まみれのクソセールスが家に入ってきた。

まぁちょっとかわいそうだし話だけでも聞いてやるか…。


「んで?ルージュさんでしたっけ?なんですか?」


「おーやっと話を聞いてくれるんか!」

パーと表情を明るくするルージュ。


「まずな、この街にこないだ来たときはこの家がなかったんや」

「それでな、気になって近くいったらどえらい魔力を感じてな!商売の匂いがしたんや!!」

ニコニコ顔でまくし立てるように喋るルージュ。


「はい、そうですか。じゃあ、お帰りください」

別に商売したくないし帰ってもらおう。


「ちょちょちょーい!まだ話すことあるやないかー……すいません」

ルージュが話してる途中で魔力を込めた殺気を出すマオ。

いい仕事してるぞマオ。


「すいません。その殺気抑えていただけないでしょうか?マオさん…」

怯えた表情のルージュ。

マオに目配せをしてやめさせる。



「んでな!ルージュ商会っていう大きい商会やってるから売りたいもんとかどえらい知識持ってるんとちゃうかなーって!おもってん!わか……すいません」

どんどん声が大きくなってマオの許容範囲が超えると殺気出されるシステムでテンションがどえらいことに…。



「はー、じゃあ大きい蛇とウルフの牙と毛皮持ってるでそれ持って帰ってください」

外に出て今まで狩ってきたモノを全部出す。


「こ。。こんなにええんか!!助かるわ!!なんか欲しいもんとかないんか!大きい商会やからな!なんでもあr…すいません」

シュンと小さくなるルージュ。まじでこいつ学ばねえ。


「そうだ、だったら調味料欲しい。お金いらないから珍しいのとかいっぱい買ってきてくれたらいいよ」


「そうか!任せとき!!うちに任せときー!」

騒ぎつつマジックボックスに入れつつで忙しいだろうに笑顔である。

いい根性してるわー。

まぁ、うるさい人ではあるのだが悪い人ではないと思う。


「あと、ウチは爆炎のルージュって言って二つ名を持ってる冒険者なんや。まぁ、そんなに強くないんやが商会持ってるから二つ名もろてん」


へー心底どうでもいいな…。


「名乗ってここまで興味なさそうなの初めてや…まぁ、いいわ。明日ぎょーさん持ってきたるから覚悟しいや!!」

ほななーと言いながら去っていくルージュ。


「お主よ、あいつ明日朝から来たら魔法うっても良いか?」


「うん、いいよ」



朝からどっと疲れたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る