第3話サンタの慰労会

033は、24日の日没からプレゼント配達業務に忙殺された。

5分の4は、佐川急便に依頼した。

そして、ある一軒の家が最後の配達となった。


「お母さん、早く元気になってね。僕はサンタさんにお願いしたんだ。お母さんの病気が早く治る薬を。きっと、サンタさんは薬を届けてくれるよ」

小学生低学年の男の子は、ベッドに横たわる自分の母親にそう言った。

「健太、優しい子ね。お母さんの病気はきっと良くなるから。元気になったら、サンタさんよりも、ずっといいプレゼントをあげるからね。天国のお父さんも、健太を幸せにしてくれるから」

ベッドに横たわる母親は、呼吸をするのさえ苦しそうだった。

健太は、1人テーブルでカップ麺を食べた。


その様子を033は見ていた。

「くぅぅ、泣かせるじゃねえか。よしっ、この万病に効く、033スペシャルドリンクと、Switchとスプラトゥーンを届けよう


033は玄関にプレゼントを入れた袋を置き、インターホンを鳴らした。


ピンポーン


「はい、杉山です。どちら様ですか?」

と、健太の声。

「サンタじゃよ」

「……さ、サンタさん?」

「そうじゃ」

健太は、部屋から飛び出す様にドアを開いた。

そこには、白い袋だけが置いてあった。

健太は、袋を開くと、

『お母さんのお薬』

と、書かれたドリンク剤とSwitchとスプラトゥーンが入っていた。

健太は直ぐに、母親のもとへ走りドリンク剤を飲ませた。


ゴクッゴクッゴクッ


!!


「あらっ、お母さんの体が軽くなったみたい。久しぶり、歩けるかも知れないわ、健太」

「お母さん、頑張って!」

母親は、ベッドから立ち上がり部屋を歩いた。

「お母さんが、歩いた!やった!ありがとうサンタさん」

母親は、久しぶり息子の健太を抱き締めた。

「ありがとう、健太。健太がサンタさんにお願いしたから、お母さんは元気になったの。お腹空いてるよね?」

健太は首を振り、

「さっき、カップ麺食べたよ」

「お母さんが、ホットケーキ作ってあげる」

「やった~」


『しかし、誰がこの薬を置いたのかしら?ホントにサンタはいるのかもしれない』


全て仕事を終わらせた、サンタクロース033は、1人で店に入った。

今池いまいけの「きも善」と言う、焼き鳥屋である。

串盛りと、熱燗を注文した。

スーパー銭湯でビールを飲んでいる、トナカイの赤鼻に電話し、明日の朝、つまり25日の朝の飛行機で帰国する旨を伝えた。

033は、久しぶり心地よい酒を飲んだ。

クリスマスの奇跡は、どの家庭でも存在すれのだ。

ちなみに、「きも善」を出た、033は通りの浸透桝しんとうますに、リバースした。

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