サンタクロース・ラプソディー

羽弦トリス

第1話サンタクロースとトナカイ

ここは、ある国のサンタクロース組合。

「え~、それではサンタクロースの皆さん、皆さんが担当される国と場所を発表します。電光掲示板でご確認下さい」

と、拡声器でサンタコスプレをした若い女性事務員がサンタクロースたちに、そう伝えた。

日本の愛知県名古屋市担当のサンタクロースはJ-033番。

担当のJ-033番サンタクロースは、

「えぇ~、また、日本?やだな~。遠いし、ややこしいし。まっ、いっか」

このJ-033番サンタクロースは、真っ赤なお鼻のトナカイの所有者であった。

組合の建物を出ると、トナカイの赤鼻の元へ戻った。

「よう、033、今回はどこの国だ?」

「また、日本の名古屋市だよ」

「何ですって!この疫病神!日本って、スッゴく遠いじゃないか!」

「まぁ、配達はバイトを雇うが赤鼻、日本まで飛べるかい?」

サンタクロースの033は、マルボロに火をつけながら尋ねた。

「今年も、ソリごと飛行機に乗って行こうや?腰がいてぇんだ」

「飛行機ねぇ」

「何か、問題でも?」

「飛行機で日本に向かったら、ちびっこ達の夢を壊さんかね?」

「日本の名古屋市は230万都市よ!どうやってプレゼントを運ぶ気なの?後、現地で佐川急便に配ってもらおう」

「いいや、ダメだ!わしが直々に配る。……かも」


23日の夜。

貨物機に大量のプレゼントを乗せ、033サンタクロースと赤鼻はゆるりとしたスペースに腰を下ろし、take off。

033と赤鼻は、マッカランで乾杯した。

赤鼻は鼻だけではなく、全身がピンクに染まった。酒に弱いのだ。

1人と1頭は、フランス料理に舌鼓を打ちに、25日に備えてゆっくり機内でくつろいだ。

033は、スマホで佐川急便の担当者に連絡を密に取って、自身は小児病棟で病と闘うちびっこの担当になった。

まだ、日本まで8時間ある。

ゆっくり寝よう。

クリスマスのサンタクロースは体力勝負だ。

歩合制で、チップも入れると、たった1日で3000万円以上稼ぐサンタクロースもいる。

サンタクロースになるには、学科試験と身体検査を合格しなくてはいけない。

学科は、児童心理学などちびっこに関しての設問が多い。

033と赤鼻は、飲み疲れてイビキをかいて寝ていた。

この先、どうなる事やら。


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