もうちょっとだけ、続くんだな 6/11

 リョウマのギプスに卑猥な落書きをして、僕とケンイチは話す。


「で、双子はどうだ? エロい事してるか?」

「エロいことは、……それなりに。でも、なんか、行為の一つ一つが、やたらと僕を不安にさせるんだよ」

「惚気かよ」


 チンコの落書きをすると、リョウマが声を上げる。


「なあ。それ描くの止めてくれないか? モロじゃないか」

「無修正が好きなんだよ」

「だからって、見える場所に描かなくてもいいだろ」


 我ながらリアルに描けている。


「今、外堀を順調に埋められていてさ。もう、家にさえ逃げ場がないんだよ」

「ヤンデレは手を出すと、一巻の終わりだぞ。毒を食らわば皿まで、ってな。覚悟はしといた方がいい」

「でも、カンナさんのこと、好きなんだろ?」


 前の僕なら、「いや」と否定していた。

 だけど、今は少しだけカンナさんが好きになり始めている。


 本当に尽くすタイプで、僕がラーメンを食いたいと言えば、鳥ガラから出汁を取って、ちゃんとしたラーメンを作るようになった。


 悪いので、僕は僕でお金を出している。

 それに、夜はひたすら頭を撫でられ、抱き枕として寝ている。


 家に鍵を閉めれば、窓から侵入して、いつの間にかいるって感じ。

 アノンさんを連れてくる場合は、そのまま一階に下りて、鍵を開け、中に誘導。


 どこのスカベンジャーだ、って感じだった。


「まあ、好きだけどさぁ」

「なら良かったじゃないか」

「いいんだけどさぁ。想像以上に自由がなくて、たまに苦しくなるんだよ」

「それがヤンデレと付き合うってことだ」

「アノンは溜まるもの溜まったら、いきなり爆発するからね。気を付けなよ」


 アノンさんは情緒不安定なので、いきなりキレることが多い。

 ここ最近では慣れてきて、すぐに謝罪が出るようになった。


 その分、姉の目を盗んでは、虜にしてやろうと僕を誘惑してくる。

 で、毎度のこと、カンナさんにシバかれている。


 ああ、僕もね。

 カンナさんに愛情たっぷりのホールドをされた。


 馬乗りになって、ぎゅっと覆いかぶさってくる抱きしめ方。

 足は腰に回されて、全体重がアバラに圧し掛かるのだ。

 まるで、熊に抱きつかれてるみたいだった。


 二人と話していると、着信があった。


 相手はカンナさん。

 一言だけ、『会いたい』とをしてくるのだ。


「ごめん」

「おう。彼女さんね。たっぷりイチャついてこいよ」


 ケンイチにからかわれながら、僕は病院を出た。

 

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