恋愛話の詰め合わせ

@MIKIMAKOTO

ヒジキから始まる恋(笑)


春川さん「あの……小谷君…、お弁当作ってきたの…良かったら食べて!」

小谷君「嬉しいんだけど、どうして俺が昼飯を食べ終わったタイミングで言ってくるのかな?」

春川さん「ごっ、ごめんなさい!あまりにも美しい食べっぷりだったから、つい見惚れてしまって…」

小谷君「いや、普通に食してたけどね。そして食べ終わったの見てたのに、このタイミングでお弁当勧めてくるんだね。春川さんはお昼食べたの?」

春川さん「私は食べ終わったところ…」

グーーーー

小谷君「そのセリフと同時に腹が鳴るって、内臓と打ち合わせでもしてたの?」

春川さん「ごめんなさい!お母さんが作ってくれたお弁当があまりにも可愛かったから、私が作ったことにして、小谷君をだまくらかして女子力アピールしようと思ったら、その意志に反して内蔵が悲鳴をあげてしまって!」

小谷君「言わなくていい情報まで伝えてしまった後悔は無いのかな?

とりあえず、俺はお腹いっぱいだから、春川さん食べなよ。そのお弁当。」

春川さん「優しいよね、小谷君…」

小谷君「いや、このシチュエーションから出るセリフって、多分これしか無いよ。」

春川「じゃあ隣で食べさせてもらうね。」

小谷君「すっごい隣に来たけど、食べづらくない?」

春川さん「なんか、こんな近くに小谷君がいたら、胸がいっぱいでお腹も空かなくなっちゃう」

グーーーーーーーー

小谷君「やっぱり打ち合わせしてるよね、内蔵と。」

春川さん「じゃあ、いただきまーす。……くちゃくちゃくっちゃ……ゴックン!くちゃくちゃくっちゃ…」

小谷君「咀嚼音が大音量だけど大丈夫?」

春川さん「大丈夫だよ。げーーーっぷ」

小谷君「今、遠慮無くゲップしたよね?」

春川さん「やだ!恥ずかしい!げーーーっーーーっぷ」

小谷君「さっきより酷いゲップ音が、食堂に響き渡り、みんなこっち見てるよ。」

春川さん「ごめんなさい!小谷君の隣で食べてるのが嬉しすぎて、心の声が出ちゃった。」

小谷君「それは胃の声だと思うよ。」

春川さん「もう!小谷君のいじわる!」

小谷君「ある意味、君のほうがいじわるだよね。」

春川さん「ごちそうさまでした。あのね…小谷君…」

小谷君「ん?なに?」

春川さん「明日も一緒にお昼食べていいかな?……」

小谷君「まずは、前歯にビッシリ付いた青のりを取ろうか。話はそれからだ。」

春川さん「じゃあ、明日も一緒に食べていいんだね!」

小谷君「人の話聞いてた?」

春川さん「あ!青のりだよね!ごめんね!」

小谷君「僕の目の前で、指で擦って青のりとるんだね。」

一生懸命に青のりを取っている春川さんの鼻の下に付いてるヒジキが、小谷君のハートを奪っていた事に気付いた人は誰一人、この食堂にはいなかった。

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