第7話 ドラキュラ②
桃太郎一行とドラキュラ軍団は激しくぶつかったが、数の多いドラキュラ達を前に桃太郎も苦戦していた。
「キジよ、そろそろではないか?」
「桃太郎さん、来ました!」
桃太郎はアナ王女に作らせた百人力のキビ団子を村人に食べさせて、援軍を要請していた。
クワやスキを持ち、キビ団子で筋骨隆々となった村人たちが城に乗り込み、桃太郎たちは形勢を逆転した。
「よし、日本から取り寄せたあれも使え!」
桃太郎たちは日本から取り寄せた桃を取り出し、吸血鬼たちに投げつけた。
桃は古くより邪気を祓う神聖な果物と言われている。
桃をぶつけられた吸血鬼たちは一斉に逃げ始めた。
「くそ、桃太郎め!」
ドラキュラは桃太郎の背後にまわり、桃太郎の首筋に噛みついた。
「うわ、甘い、なんだこれは、虫歯になる……」
ドラキュラは血ではなく、桃の果汁のような液体に驚き、桃太郎の血を吐きだしてしまった。
「この野郎! 俺はアン〇ンマンじゃねぇんだぞ!」
首筋を噛まれて怒った桃太郎はドラキュラの頭に2,3発拳骨を入れた。
ドラキュラは本来は不死身だが、桃太郎の血を吸ってから急激に体が衰え始め、さらに拳骨をもらったことでフラフラになっていた。
「くそ、回復せねば! 美女の生き血があれば……」
ドラキュラが周囲を見渡すと、一人の眼鏡美少女が目の前に立っている。
「これはついている。あの少女の生き血をいただくぞ!」
ドラキュラは目の前の眼鏡美少女に襲い掛かった。
「あ、ドラキュラ、その娘はやめた方がよいかも……」
一応、桃太郎は注意喚起したが既に手遅れだった。
眼鏡美少女とはメデューサだったのである。
魔眼殺しの眼鏡を取ったメデューサは蛇の髪をした本来の怪物の姿になり、一瞬でドラキュラを石化させてしまった。
「メデューサちゃん、早く眼鏡かけて!」
桃太郎は慌ててメデューサに眼鏡をかけさせ、人間の姿に戻した。
ドラキュラが石化したことにより、吸血鬼にされた人々も元の人間の姿に戻って行った。
「桃太郎さん、助けてくれてありがとう! なんかドラキュラ以外にとんでもない怪物もいたような気がするのだけど……」
「そんなのいるわけないだろ! それよりも早くアナ王女に知らせ行け!」
勝利に喜ぶがどこか違和感を感じている村人たちを誤魔化し、桃太郎はバレる前に、日本に引き上げることにした。
「ウィリアム、アナ王女によろしくな!」
「桃太郎さん、ありがとうございます! 報酬はあとで送りますんで!」
こうして、ウィリアムにだけ挨拶を済まし、桃太郎一行は日本へと戻って行ったのであった。
日本に戻った桃太郎は、これ以降、メデューサに石仏を作らせたりしながら生計を立て、平和に暮らしたそうな……。
(もうちょっとだけ、つづきます……)
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