いただき魔す‼~客は好物、式神は邪念を食らう~
クラプト(Corrupt)/松浜神ヰ/ハ
第1話 いただき魔す!!
むかしむかし、徳川家が天下統一を果たし、江戸城が建って10年も経たない頃の話だった。江戸の城下町に溢れる邪念を払うことで江戸の治安維持に尽くし、徳川家に厚く信頼されていた数少ない外様大名の一族がいました。彼らは式神を使い、その式神は人間の邪念を“食べる”という形で払っていました。
それからおよそ400年経った現代において、一族に前例のない払い方を試みた青年がいた。
その青年は、長年の憧れである料理人になる為に家業を放ってまでパリへ留学したが、その時の全額を代々受け継いできた徳川埋蔵金の大判のうちから3枚を売り払ったお金だったことが知られ、結局家業を継がさせられることになった。
…っていうのが俺、
「邪念を払うときはただ払うだけじゃあ駄目だ。しっかりその邪念と向き合うことが大切だ」
なんて父さんに言われるモンだからお客さんと話せるようにカウンター席でしかやらないことになったが。まあ、”お客さんの要望に合わせて作る”っていう方向性にはベストマッチだと思うが。
で、賃貸物件も見つかって開店の準備も順調、あと2週間もあればもう開店できそうだから、今日は父さんに俺の欲望をつめた式神を召喚してもらう予定だ。
この一族の式神使いは式神に欲望をつめて召喚する必要があって、欲望がつまっていればつまっているほどより多くの邪念を食うらしい。
「よお、義嗣。やっとお前も相棒を召喚すんのか」
「あ、修司さん。そういえば、修司さんたち式神ってどこから召喚されるんだ?」
「俺は義嗣の父さんの欲望から生まれてんだ。殆どの式神は召喚者の欲望を魔力で具現化させたようなモンだ。だから義嗣、お前さんの式神がどんなんになるか楽しみだ」
「まあ、俺の欲望が丸出しになるようなモンだからあんま期待しないでくれ」
「義嗣、さっさと儀式始めるぞ」
「お、おう」
「で、お前の欲望は?俺が修司を召喚したときは欲が乏しい頃だったが、今のお前は店の開店が間近だからきっと欲は多いだろう。さあ、父さんの召喚術に任せてドンとぶつけてみろ、お前の欲を!」
「俺は…、ツインテールの赤髪碧眼、ツンデレデレマシマシ、バスト76、ウエスト51、ヒップ90、身長は145から160くらい、目は垂れ目気味で、服の露出は少なくて、和服じゃなくてできれば軍服っぽいのとかワンピースみたいな軽い服装で、おてんばで、世話が焼けて、でもしっかりと言うことは聞いてくれて、俺が辛いときに
「要望が多すぎだ!!あと、式神は基本人間の邪念を食らうから人間の食事は食わないはずだ!!」
「いや、修二さんが言ってたぞ。式神は契約者の欲望で無限に進化する、って」
すると、父さんが床に描いていた魔法陣が真っ赤に光り出し、そこからは本当に赤髪碧眼のツインテール美少女が出てきた。
「ア、アンタが主!?ちょっと、初対面でそんなジロジロ見ないでよ…」
「俺は榊原義嗣。ご察しの通り俺は君の主人だ。よろしく」
「よ、よろしく…」
ああ、父さん。俺、父さんの息子でよかった。こんな美少女と毎日一緒に仕事ができるなんて…。
「ねえ、何を考えてニヤニヤしてるの?気持ち悪い…あっ、ごめんなさい、つい…」
「いいんだよ。俺は君が君らしくあってくれればいいからさ」
「何それ、意味分かんない。まったく、主ったら…」
「そういえば、君って名前何ていうの?」
「何でもいいでしょ?好きにすれば?」
「なら、
「朱雀?何かは知らないけど悪くはないわ」
「じゃあ、改めてよろしく」
「う、うん。で、アタシは何をすればいいの?」
「人間の邪念を食べてくれればいいんだよ。あと、人間の邪念を食べる前は、必ず『いただき魔す』って言ってな」
「い、言われなくたって…。分かったわ、『いただき魔す』、ね」
続く
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