第18話 反撃と少年

僕は回避できなかった。

しかし、僕をかばった人物達がいた。

そのシルエットは、ソフィアとレイス、アルフォンス、レティシア、ジークだった。「アレス様、これ以上の狼籍は我々が許さないわ」

「ああ、そうだ。お前のような悪しき者に負ける訳にはいかないからな」

「私も頑張ります」

「へぇー、お前らが相手してくれるのか?だけど……お前らの実力で俺を倒せると思ってんの?」

「当然だ。お前の好き勝手にはさせない」

「はっ、言うじゃん。でも……そんなボロボロの状態で俺に勝てると思ってんの?」

「それはどうかしら?」

「何?」

「さっきの攻撃はわざと受けたんでしょ?」

「ほう……。俺の狙いに気付いていたのか?」

「ええ、もちろん。あなたはあの時、私が魔法を発動する前に止めを刺せたはず。なのにあえてそれをしなかった。ということは……何か理由があるということよね?」

「フッ、そこまでわかっているなら話が早い。確かに俺はお前を殺すつもりはなかった。だが、気絶させるつもりだったんだ。お前らを全員倒すには時間がかかるからな」

「あら?どうしてかしら?あなたほどの力があれば私達を倒すことは容易いでしょうに」

「俺も最初はそう思ったよ。けど、俺は考えたんだ。お前らは俺にとっては邪魔者以外の何物でもない。だから……殺すことにしたんだ」

「フンッ!お前如きが我等を殺せると本気で思っているのか!?」

「ああ、思ってるさ。お前ら雑魚どもなんて余裕で皆殺しにしてやれるよ。それに……もうすぐここにあいつらも来るだろうしな」

「あいつら?まさか!?」

「ああ、その通りだよ。お前らに恨みを持つ連中がな。まあ、せいぜい頑張ってくれよ?クズ共が死ぬところを見るのは楽しいだろうしな」

「貴様ァァァーーー」

「おっと、動くなよ?動いたらこの女がどうなってもいいのか?」

アレスはソフィアを人質に取った。

「卑怯な……」

「ハハッ!なんと言われようが構わないね。勝てば正義なんだよ!」

「クソォー」

「さて、どうする?お前達は俺と戦う?それともこの女を見殺しにする?」

「ふざけるなよ……」

「あん?」

「お前みたいな奴が……ソフィアさんに手を出すんじゃねえ!」

「ほう?この状況でよくそんなことが言えるな?お前のせいでこの女の大切な人が死ぬかもしれないんだぞ?」

「それでもだ!!例えソフィアさんの命が失われることになったとしても……僕はお前を許さない!!」

「チィッ、本当に面倒くさい野郎だな。おい、そいつの口を塞げ!」

「わかりました」

「うぐぅ……」

ソフィアは口に布を当てられた。

「よし、これでこいつは声を出せなくなった。さあ、どうする?」

「くっ……」

「ほら、早くしないと仲間が殺されるぜ?」

「クソォー!!」

「お?ようやく戦う気になったか?じゃあさっさと始めようぜ?」

「待ってください」

そこに一人の少年が現れた。

「ん?なんだお前は?」

「僕は……あなたの敵です」

「あぁん?どういう意味だ?」

「そのままの意味ですよ。僕の名前はアルフォンス・ハイゼンベルク。あなたに復讐する者です」「ほう?お前があの時のガキか……。いいねぇ~、実に面白い展開じゃないか。俺を楽しませてみろよ?」

「ええ、もちろん。では……行きますよ?」

「来い!」

こうして戦いが始まった。

「フッ、まずはこのガキから血祭りにあげてやるよ」

アレスはアルフォンスに向かって剣を振り下ろした。しかし、それは簡単に受け止められてしまった。

「なにぃ?」

「残念ながら……僕のことを忘れてもらっちゃ困りますね」

「チッ!二人掛かりとは随分と卑怯なことをするんだな」

「あなたにだけは言われたくないですね」

「ふん、まあいい。まとめて片付けてやるよ」

「それはこっちのセリフだ」

「私達の力を見せてあげるわ」

「覚悟してください」

そして、それぞれの想いを乗せた最後の決戦が始まる。

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