第7話 悪魔と少年

 それから数日後のこと。

「おーい、お前ら席につけ」

 担任の教師が教室に入ってきた。生徒たちはそれぞれ着席する。

「今日の連絡事項は……特にない。以上だ」

 それだけ言うと、教師はさっさと出て行ってしまった。どうやら今日もいつも通りの一日が始まるらしい。

「ねえ、聞いた?今朝のニュース」

「うん、見たよ」

「あれって本当かな?」

「どうだろうね」

「でも、もし本当だったら凄くない?」

「うん、私もびっくりしちゃった」

 クラスメートたちはひそひそと話し合っていた。少年はその様子をぼんやり眺めている。だが、ふと違和感を覚えた。なぜか妙にざわついているような気がしたからだ。少年は周囲を見回す。すると、その理由はすぐにわかった。

「えー、皆さん聞いてください」

 教壇に立っていたのは若い女性だった。だが、普通の女性ではない。彼女は全身を白いタイツのようなもので覆われていた。しかも、ただの白タイツではなかった。よく見ると、頭には角が生えており、背中からはコウモリを思わせる羽が生えている。そして、彼女の足元では黒猫が丸まっていた。

「なんだ、あの女?」

 少年は思わず呟いた。すると、隣に座っていた少女が囁きかけてくる。

「あなた知らないの?」

「ああ」

「あの人はこの学校の先生なんだけど、正体は悪魔なの」

「えっ?」

「ほら、前に新聞とかテレビで報道されてたじゃない」

「あ、そう言えば……」

 少年は思い出した。確か数週間ほど前だっただろうか。ある地方都市で突如として謎の奇病が発生し、多数の死者が出たという事件があった。その時に、原因不明とされていた病気の原因が悪魔の仕業であることが判明した。その結果、政府は非常事態宣言を出し、悪魔の討伐に乗り出したのだ。そして、その責任者に任命されたのが彼女だった。

「それで、なんで彼女がここにいるんだ?」

「もちろん私たちを指導してくれるためよ。ほら、この間の事件って結局、解決しなかったでしょう?」

「ああ、そうか」

 少年は納得した。

「じゃあさ、僕たちも退治されちゃうのかな」

 少年は不安げに尋ねた。

「大丈夫だと思うけど」

「なんで言い切れるの?」

「だって、まだ誰も死んだり怪我したりしてないもの」

「確かに」

 少年は苦笑した。

「それにしても、なんであんな格好をしてるんだろう」

「さぁ、趣味じゃないかしら」

「なるほど」それから数日後のこと。

「おーい、お前ら席につけ」

 担任の教師が教室に入ってきた。生徒たちはそれぞれ着席する。

「今日の連絡事項は……特にない。以上だ」

 それだけ言うと、教師はさっさと出て行ってしまった。どうやら今日もいつも通りの一日が始まるらしい。

「ねえ、聞いた?今朝のニュース」

「うん、見たよ」

「あれって本当かな?」

「どうだろうね」

「でも、もし本当だったら凄くない?」

「うん、私もびっくりしちゃった」

 クラスメートたちはひそひそと話し合っていた。少年はその様子をぼんやり眺めている。だが、ふと違和感を覚えた。なぜか妙にざわついているような気がしたからだ。少年は周囲を見回す。すると、その理由はすぐにわかった。

「えー、皆さん聞いてください」

 教壇に立っていたのは若い女性だった。だが、普通の女性ではない。彼女は全身を白いタイツのようなもので覆われていた。しかも、ただの白タイツではなかった。よく見ると、頭には角が生えており、背中からはコウモリを思わせる羽が生えている。そして、彼女の足元では黒猫が丸まっていた。

「なんだ、あの女?」

 少年は思わず呟いた。すると、隣に座っていた少女が囁きかけてくる。

「あなた知らないの?」

「ああ」

「あの人はこの学校の先生なんだけど、正体は悪魔なの」

「えっ?」

「ほら、前に新聞とかテレビで報道されてたじゃない」

「あ、そう言えば……」

 少年は思い出した。確か数週間ほど前だっただろうか。ある地方都市で突如として謎の奇病が発生し、多数の死者が出たという事件があった。その時に、原因不明とされていた病気の原因が悪魔の仕業であることが判明した。その結果、政府は非常事態宣言を出し、悪魔の討伐に乗り出したのだ。そして、その責任者に任命されたのが彼女だった。

「それで、なんで彼女がここにいるんだ?」

「もちろん私たちを指導してくれるためよ。ほら、この間の事件って結局、解決しなかったでしょう?」

「ああ、そうか」

 少年は納得した。

「じゃあさ、僕たちも退治されちゃうのかな」

 少年は不安げに尋ねた。

「大丈夫だと思うけど」

「なんで言い切れるの?」

「だって、まだ誰も死んだり怪我したりしてないもの」

「確かに」

 少年は苦笑した。

「それにしても、なんであんな格好をしてるんだろう」

「さぁ、趣味じゃないかしら」

「なるほど」

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