38歳――ギリギリの年齢だから婚活をすっ飛ばして妊活から始めてみました。

深海魚

プロローグ


 今まで生きてきてたった一度しか恋愛しなかった。そのたった一度の恋がトラウマになって、二度目の恋をしたとき私は38歳になっていた。初恋をした二十歳のときから18年の歳月が経過していた。

 18年前に私を振った男を恨んだことはない。ひたすら自分の愚かさを恨んだ。愚かな私には恋をする資格などないと信じた。

 大学を卒業して仕事に打ち込み、預金額は三千万円を越えた。女の幸せを捨てた代償としたらまあまあだろう。

 でもそれは完全に捨て去られたわけではなく、私の心の奥深くにずっとくすぶり続けていたのだった。私は二度目の恋に足を踏み出した。すべてを失うことも覚悟して――

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