星の数のピロートークと一回のプロポーズ
井黒 灯
はじめに
なぜ不特定多数と肉体関係を持ってはいけないのだろう。
なぜ同性相手と肉体関係を持つ事が普通じゃないのだろう。
セックスは好きあったもの同士で行うのが「あたりまえ」で、それは異性間で行うのが「あたりまえ」だ。この「あたりまえ」が、一般的な世間の考えで。それから外れる事はあまりよく見られない。
それでも私は、同性相手と、そして不特定多数と肉体関係を持って生きてきた。
そこに恋愛感情の類は一切なく、ただ単純に「したい時に、したい人とする」それが一番だと思っているからだ。
人間誰しも、欲しいものがあれば手に入れようとするし、お腹が空いたのならばご飯を食べる。では、したい時にセックスすると言うのはそれと何が違うのだろうか。勿論、その行為には妊娠それに性感染症のリスクがある。しかしそれは他も同じで、物欲が過ぎれば破綻するし、食べ過ぎれば生活習慣病になる。つまり、しっかりと超えてはいけないラインの線引きが出来るかが大事なのであって、その行為自体を悪とする必要は無いはずだ。
とは言っても。
当然こんな自分の考えは、世間の「あたりまえ」から外れた「性的マイノリティ」に属する事は分かっている。だから家族含め身近な人には隠して生きてきたし、大声で発信した事はない。
でも、だからと言って自分が「してはいけないことをしている」とは微塵も感じたことは無い。
そんな私も、意外な事に今では結婚し子宝にも恵まれている。
勿論、子供ができたから結婚したと言う訳ではなく、しっかりとしたプロセスの上での結果であり、断じて望まずにそうなったわけではない。
でも、そんな「あたりまえ」から外れた「性的マイノリティ」の私が、まさか一人の相手を選ぶ事になるとは思ってもいなかったし。ましては子育てなど考えた事もなかった。
だから一度こんな「あたりまえ」から外れた自分の過去の出来事を思い出すと共に、どうして今の自分が居るのかを振り返ってみようと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます