第4話 ハンター試験
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■ ハンター試験
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▼ 別離 ▼
数日後、退職金の振込があったので弁護士へ着手金を支払いに行くとなんだか話が変わっていた。
弁護士によると、どうやら銀行員と元妻が浮気をしていたらしく、銀行員、元妻、街金による横領詐欺事件として警察が入っているので破産宣告は待ったほうが良いと、事件の内容では契約そのものが無効になる可能性もあり、契約の錯誤も考えらると。
まあ、俺にはよくわからなかったのでとりあえず今後のことを頼むことにして着手金を支払ってでた。
妻が捕まるとなれば娘たちはどうなるかと娘のスマフォに連絡を取ると妻方の儀母がでてとにかくガミガミと言われた。なぜか知らんが全て俺のせいだと……
娘たちも会いたくないと言っているしこちらとしても会わせるつもりは一切ないと電話を切られた。
娘が会いたくないと言うのなら仕方ないし、元妻の実家にいるのなら心配はないだろう。ただ、実家も今回の件には巻き込まれていたはずだがどうなっているのやら……
娘たちは俺の番号は知っているので本気で困ればかかってくるだろう。そう考えるととりあえず放置でいいか……
さて、あとは今後の問題だが……
退職金と社内預金はそのまま手元に有るので当面は心配ないとしても早急に動かなければ仕事は見つからないだろう。
42歳で正社員が見つかる訳はないだろし派遣かぁ~
前の会社で派遣で働いている人たちを見ると頭が下がっていたが自分がそうなるのは辛い……
どうしたもんかなぁ~
▼ 引っ越し ▼
とりあえず今のマンションは広すぎるのでこぢんまりとしたところに引っ越すことにした。
引っ越しの際に来ていた業者の彼がハンター資格の講習の話を同僚としていた。
詳しく話を聞いてみるとどうやら彼らは17歳で高校には言ってないらしい、ハンター資格を取得してハンターとして活躍したいらしい。
確かにハンターの収入は良い低ランクのハンターでも同年代の倍は稼げる無論、自分の命をベットしての話になるのでそれを考えると安いのか高いのかその辺は人それぞれだろう。
ハンターかぁ……俺にもできるだろうか???
彼らの話を聞く限り低層でちまちまとやるぶんにはそう危険もないらしい...うーん、とりあえず資格だけでも取ってみることにした。
引っ越しは自分の荷物だけなので予定より早く終わってしまった。
彼らも時間的な余裕はありそうなので昼飯として寿司や丼をとって食べることにした。リーダー格とは言っても20代前半だろう青年は恐縮していたが俺から見れば同じような子供がいてもおかしくはない。
流石に酒は出せないが遠慮なく食べるように再三言うとやっと食べだした、一旦食べだすとガツガツと食っていた。
「おっちゃん!、飯、ありがとう。講習会待ってるな!!」
帰り際、17歳の少年二人とは講習会で再開する約束をして分かれた。
{おっちゃん}そう言われて心にザックリと響いた。無論、何も言い返すことなどなく笑顔で送ったのだが……
まあ、おっちゃん、おじさん、そう言われてなんの不信感もない言葉だ、むしろそれ以外の呼称を探すほうがむずかしいだろう。
いくらなんでもお兄さんはあんまりだろう。
自分で言って笑えるぐらいだ。
▼ ハンター資格 ▼
ダンジョンに潜るにはハンター資格を取る必要があり勝手に入ったりすれば当然、刑罰の対象となり5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となる。
まあ、初犯だと実際は30万程度の罰金だそうだが重犯になると金額は上がり懲役もある、ハンター資格は永遠に得ることが出来なくなる。
ハンターになるための最低条件は16歳以上の日本国籍を持つもので禁固刑以上の禁固刑のない者とこれだけだ。
早い話が公営の別荘ぐらしの経験がなければ軽度の前科があってもOKらしい。
政府としてはならべく多くの資源を得たいがためにかなり規制としてはゆるい。
資格を得るためには講習を受ける必要があるが、座学と実技が有る。
実技はよほどのことがない限り落ちることはないそうで、学科にしても座学の内容をきちんと聞いていればまず落ちることはないらしい。
ちなみに合格率は72%と簡単と言われるにしては低いのはどうやら生き物を殺すというところを忌諱するものが結構いるためらしい。
早速、自分の住所の有る役場で申し込みをした。
2週間ほど経って講習会の通知が来たのでそれを持って会場に行くと30~40人ほどが来ていた。
女性が半数近くいるのには驚いたが、これには理由があった。
ハンターとして活動するとその経験に応じて若返ったりするということでダンジョンキャンプという健身や若返り目的のコースが人気らしい。無論これもダンジョン内で行われるのでハンター資格が必要となる。
こういった理由で当初あった年齢制限の上限、45歳まで下限20歳というのはものすごい反対により緩和され下限16歳、上限65歳に変更されたが後に制定された。
▼ 健身キャンプ
ダンジョン内の低層、通常は1層。低ランクの魔物を狩ることによって経験値を積み若返りなど健身を目的としたもので討伐しても報酬は発生しない。
健身キャンプでは年齢制限が撤廃され事前講習を90分受けるだけでハンターライセンスも不要となった。
これにより杖を付いたジジババも参加している、杖を持っているからって決して魔法使いではない。
はがきを出して料金を払い受付を済ませると、壁に貼ってある広告などを見ていると呼び出しがあった。
「綺羅沢さん、あなたは商業ライセンスをお持ちですよね。午前中の学科及び試験は受ける必要がありませんので午後の実技講習だけ参加されて下さい。」
「はぁ、わ、わかりました。」
▼ 商業ライセンス ▼
そういえば元の会社で特殊素材課を作るときに商業ライセンスが必要になり取ったことを思い出した。
うーん、確か会社では俺一人しか持っていないはず、あれから誰かが取りに行ったって話も聞かないし……
まぁ、どうせ辞めた会社だ関係ないと言えば関係ないだろう。
商業ライセンスは個人のライセンスであり、信二が取得したときは2日間講習を受けて14日目に試験がありそれに合格すれば発行されたが当時でも素材管理法の他関係法令にまで及び通常のハンター試験に比べると格段に難しい内容となっていたが、素材を他国へ流出させる業者も現れた為、規制され現在では、ハンターランクがCランク以上の者で買い取り実務3年以上となり講習自体も廃止され試験も素材管理法から商法や民法、刑法まで及びさらに難易度が上がった為、現在は司法試験以上の難関の試験と言われるようになっていた。
合格率が低い一因としてCランク以上というのが有るDランクでベテランと言われ。Cランクともなると年収も数千万になるものも多くなり手が少ないのともともと学習にそこまで興味がないものが多いためだったりする。
通常、Cランクで活動していて怪我をしてハンターを辞めたものが必死に勉強してなるパターンが一番多い。
再会
「すいませ~ん、おじさんもハンターになるんですか?」
壁の広告も見飽きてベンチで途方にくれていたら若い女性から話しかけられた。
女子高生ぐらいの少女で何処かであったような気がするがはっきりとは思い出せない。
「あっ、うん、そうだよ。色々あってハンターになろうかと思ってるんだけどね。」
「うーん、そうなんだぁ、おじさんぐらいの年齢でハンターになるっていう人は珍しいからちょっと興味が……」
「アハハハ、この歳でハンター志望なんておかしいのはわかってるけど、いろいろあって仕事辞めちゃってさ……この歳になると仕事もないからハンターしかないってのが現状なんだよね。
ところでさぁ、どっかで見たことが有る気がするんだけど……」
「キャハハ!!、もしかしてナンパ?、おっちゃん~無理、無理無理だよ。」
「いや、そんなつもりはなかったんだよ。本当にどっかで見かけた気がする……気のせいだったかもしれないな。」
参ったなぁ。本当にそんなつもりじゃなかったんだけど、まあ、そう取られても仕方ないって言うか、そっちが普通なのかもな……
「そう、気のせいだよ。だっておっちゃんとは接点なんてないもん、それよりもう、講習始まるよいかなくていいの?
私は学科合格してるから受講の必要はないんだけど、勘違いして早く来ちゃっただから時間つぶしてるんだけど。」
「あぁ、俺は商業ライセンスを持ってるから学科は免除なんだよ。それ知らなくて早く来ちゃったから、時間つぶしてたけど、ちょっと早いけど飯でも食ってこようと思ってるけど一緒に行くかい?」
とは、言ってみたもののまた、ナンパと勘違いされたらたまらんなぁ、あぁ...言ったのは失敗だったかなぁ……
「あっ、おっちゃん、私も一緒に行こうかな? この辺はよく知らないし……おっちゃんなら大丈夫だろうし。エヘヘヘ!!」
「あぁ、かまわないよ、確か5分ぐらいのところにファミレスがあったと思うけどそこで良いかな?」
「うん、いいよ~♪」
(悪そうには見えないからお昼ぐらいは付き合ってもいいかなぁ……もしかしたら奢ってくれるかも知んないしね、一人で食べるよりはマシかも……まあ、最悪!いざとなったら走って逃げればいいし、ハンターなら身元もわかるだろうしね。)
「じゃ、行こうか?」
名前を知らない女の子を連れてトボトボとファミレスへの道のりを歩きながら話を聞いた。
女の子の名前は中西 美和、16歳だった。どっかであったような気もしていたが名前を聞く限り記憶にはなかった。
ハンターを目指した理由は親元を離れ自立したいらしい、妻に逃げられた話をするとケロケロと明るく笑う彼女の目の奥には暗闇が潜んでいる気がした。
この歳の女子高生が親元を離れて自立したいと言うからには人に言えない理由があるのだろうと辞めた。
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